ミキサーはアーティストだ!―ぼくが語ろう2 (1979年)

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enoway@bluespuit2026年1月5日かつて読んだ名の知れたミキシングエンジニアの吉野金次氏が、職業について語る本。中高生に向けて職業について知識、理解を深めるためのシリーズ本の中の一冊だった。中学校の図書室に全巻揃っていたと思う。この本を手に取った時の衝撃を今も覚えている。「サラリーマンなんかに、なるなよね」という章があり、「ミキサーはアーティスト。ミキサーでやっていこうと思うなら、「一生サラリーマンで」なんて考え、ダメだよ」と大きな文字で書いてあり、その頃受験の意味について考えていた私にはこの言葉に貫かれたのである。エンジニアリングが芸術の領域に達するのだと感じて夢みたいな現実がここにある、などと思った。間違いなくこの本が私を都会に連れてきた。そして長い年月を経た今思うのは、魅力的に自分の職業を子供に語る人が少なくなったように感じるということと、「現実の闇」という殻を外すと、中身はほとんど嘘になるんだなということである。「信念」みたいなものだけを書くことは、そこに辿り着くプロセスを消しているので、つまりはほとんどの人は辿り着けないものなのだ。そう言う意味で、これは「嘘」である。リアリズムではなく、ファンタジー的な要素を持つ小説であると思って読めばよかったと思う。