さよなら一顆 (ディアプラス文庫)

さよなら一顆 (ディアプラス文庫)
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一穂ミチ
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1件の記録
  • 四日坊主
    四日坊主
    @Book_shelF
    2026年3月27日
    再読。本当に好き。 一穂ミチってライトめな書き口なんだけど緻密さと繊細さがあるというか、全ての文章に意味や役割があって、神経尖らせて読むと沼のように面白い。もちろんテンポがいいのでサクッと読むこともできる。 この本もまさしくそうで、電子書籍でマーカー引きながらじっくり読んだらページが真っ黄色になってしまったやつ。  湿舌(暖かく湿った空気が舌状に広がる気象現象)から始まる湿度と性感がリンクする描写がソワッと擽ったくて良い。 矢神が本当に真面目で不器用で誠実なくせに臆病さで人を傷つける人で、そんな自分が情けなくてまた踏み出すのが怖くなる……という負のループに嵌った男性なのが、榛名のいう「いじらしさ」があって愛しかった。 半透明の厚い袋に雫型の粒がぎっしり詰まった夏みかんみたいに、ぽんこつロボットのような矢神にも情けなさの涙や熱い唾液、体温をうつした汗……したたるものが内包されてると思うと、やっぱりそれって人の好奇心を掻き立てる魅力があるなー。 「軽い気持ちで渡した貝殻や小石が大事にしまわれていたのを見た気持ち」とか、「どこを見ているか分からない猫の目つき」とか、「え?俺だって付箋つけてるのみたいよ。ずるいじゃん」とか……あー、これって陳腐に言い換えると好き・愛しいって意味ね〜と思えるフレーズが盛りだくさん……それが納得感あるのにちょっと変わってて、おかしくて、でもわかる、みたいな面白さと熱があって、たまらん。
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