増補 日本古代文学入門

増補 日本古代文学入門
増補 日本古代文学入門
三浦佑之
KADOKAWA
2021年9月18日
2件の記録
  • ⭐️⭐️⭐️ 【古代人のドロドロな本音に迫る『増補 日本古代文学入門』】 【教科書には載らない人間ドラマ】 本書の最大の魅力は、教科書が「国家の正史」というベールの裏に隠してしまった、古代人たちの「生々しい感情や暮らし」を容赦なく暴き出している点です。不倫や権力闘争といった宮廷内のスキャンダル、愛欲の果ての悲劇、残酷な殺人鬼の出現、さらには排泄物にまつわる笑い話まで。著者はこれらを痛快な切り口で大胆に解きほぐしていきます。 神々や歴史上の偉人として祀り上げられた彼らも、実は現代の私たちと同じように「死への恐怖」や「老いや病への不安」に怯え、嫉妬やドロドロの欲望に翻弄される、血の通った「ふつうの人間」だったのです。人間の理性を超えた不条理な出来事に、彼らがどう向き合ってきたのかが克明に描かれています。 【増補版の真髄:災害と疫病——現代と重なる1300年前のリアル】 さらに、文庫化にあたって新たに書き下ろされた「第5章」こそが、本書を今の私たちが読むべき最大の理由と言っていいでしょう。ここで特筆されるのは、地震などの巨大な自然災害や、国家の中枢を壊滅させるほどの疫病(天然痘)の蔓延に苦しむ人々の姿です。 揺らぐ列島の上で、見えないウイルスの恐怖に怯え、貧困に喘ぎながらも、山上憶良の歌に代表されるように、必死に生きる意味を模索し、文学(言葉)に救いを求めた古代の人々。その姿は、未曾有のパンデミックや震災を経験し、先行きの見えない現代を生きる私たちの姿と、あまりにも残酷なほど重なり合います。1300年前の彼らの苦悩は、決して遠い過去の出来事ではないのです。 【古代文学のハードルを飛び越える最高の一冊】 本書は、古典を単なる「昔話」や「教養」として片付けることを許しません。過酷な時代を悩み、もがきながら生きた人間のドラマとして、強烈なリアリティをもって迫ってきます。 古代文学へのハードルを鮮やかに飛び越えさせてくれる、最高に刺激的で面白いガイドブックです。人間の「変わらなさ」に直面するスリリングな読書体験を、ぜひあなたも味わってみてください。
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