読書の極意と掟 (講談社文庫)

読書の極意と掟 (講談社文庫)
読書の極意と掟 (講談社文庫)
筒井康隆
講談社
2018年7月13日
1件の記録
  • ⭐️⭐️⭐️ 【筒井康隆の頭脳は、どんな「本」で創られたのか?】 日本を代表する稀代の作家、筒井康隆。彼の生み出す、あの破天荒でスラップスティック、かつ緻密で知的な物語は、一体どこから湧いてくるのだろうか? その秘密を知りたいと思ったことはありませんか?『読書の極意と掟』(講談社文庫)は、そんな私たちの好奇心を完璧に満たしてくれる一冊です。 タイトルに「極意と掟」とありますが、本書はいわゆる「速読術」や「効率的な読書指南」といった味気ないノウハウ本ではありません。これは、一人の演劇好きの青年が、いかにして日本文学界の巨星へと変貌を遂げたのかを、彼がその時々に読み耽った「本」を道しるべに辿る、極上の「自伝的読書エッセイ」です。 ページをめくれば、そこには筒井康隆の人生と読書が鮮やかに交差する軌跡が描かれています。 ・戦時中の疎開先で江戸川乱歩やH・G・ウェルズの物語世界に没入した少年時代。 ・役者を目指し、人間の心理を深掘りするためにフロイトを読み解いた演劇青年期。 ・不本意なサラリーマン生活の中でSFという運命のジャンルに出会い、フィリップ・K・ディックらに衝撃を受けたデビュー前夜。 彼の人生のターニングポイントには、常に決定的な「本」との出会いがありました。 さらに面白いのは、作家としてデビューした後の読書体験です。プロとしての視座を獲得した彼が、純文学から哲学、文学理論、前衛小説に至るまでジャンルを問わず貪欲に吸収し、自らの創作回路へ接続していく過程は圧巻の一言。まるで、天才の脳内ネットワークが拡張していく様を実況中継で見ているかのようなスリリングさがあります。 「アウトプット(創作)の質は、圧倒的で無軌道なインプット(読書)によって作られる」。本作は、その事実をこれ以上ないほどの説得力で教えてくれます。筒井作品のファンはもちろんのこと、「本を読むこと」そのものが好きな活字中毒者、そして何かを表現したいと願うすべてのクリエイターにとって、これほど刺激的な読書録はありません。 天才は、一日にして成らず。膨大な活字の海を泳ぎ切り、血肉としてきた筒井康隆の「読書の航海録」。次に読む本を探しているなら、まずはこの本を手に取ってみてください。読み終える頃には、紹介されている数々の名著が猛烈に読みたくなり、本屋や図書館へ駆け込みたくなること間違いなしの一冊です。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved