
KSJ
@WWH_KSJ
2026年3月28日
サラダ記念日
俵万智
読み終わった
捨てるかもしれぬ写真を何枚も真面目に撮っている九十九里
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさよなら
また電話しろよと言って受話器置く君に今すぐ電話をしたい
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
愛持たぬ一つの言葉 愛を告げる幾十の言葉より気にかかる
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
我だけを想う男のつまらなさ知りつつ君にそれを望めり
目を閉じてジョッキに顔を埋める君我を見ず君何の渇きぞ
サ行音ふるわすように降る雨の中遠ざかりゆく君の傘
明日まで一緒にいたい心だけホームに置いて乗る終電車
一人住む部屋のポスト探るときもう東京の顔をしている
文庫本読んで私を待っている背中見つけて少しくやしい
