
巫女
@twinkleroom46
2026年4月25日

聖なる黒夜【上下 合本版】 (角川文庫)
柴田よしき
買った
読み終わった
読書日記
上巻:2026.4.20〜2026.4.25
下巻:2026.4.25
面白かった!
推理ものとしては誰が事件に関与してるのか、という核心的なところと主人公の元から去った元妻の行く末がどうなったか、みたいなところは結構わかりやすいんですが、これらを通して物語としてどう締めくくるのかが気になりすぎて読む手が止まりませんでした。
それを踏まえた上でまず声を出して言いたいんですが、これは人に勧めづらいし何より一般文芸として普通に売られているのが信じられないほど性描写が濃いし多い!!
同性異性同士の関係が入り乱れるうえに、やくざものなので暴力なども平気な顔をして起きるので、そういったものが苦手な人は読むのはお勧めしないです。
かくいう私もこういう性描写が濃い作品は苦手なのですが、主人公である麻生が選び取る結末を知りたいがために読み切ったので、登場人物に愛着が持てるのなら最後までいけると思います。
※以下、事件の核心に触れない、人物同士のネタバレを含みます。
登場人物に関しては、愛着は湧くけどどいつもこいつも「嫌」、これに尽きます。
自分が正常、常識であろうとして自分の中の異常を認められず、無意識に人の運命を狂わせ、関わる人を不幸にし続けるのが得意な男、主人公の麻生。
正確なところははっきりしないけれど、おそらく麻生の誤認と普段やらないような一時の怠慢によって人生を転落させ、他の男を愛しつつも根底に麻生を愛憎し続けた男、山内。
麻生を所有したいがために「男」として麻生を捉え続け、玲子との結婚によって麻生を殺したいほど憎みつつも、結局彼を愛しているが故にどんなことでもする、と全て終わってしまった後に打ち明けた男、及川。
登場人物のことは好きだけど、人間として「このキャラクターが好き」と素直に言えないことをやりすぎて、なんか「嫌」としか形容できないのが、なんともこの作品らしいなと思います。
ストーリーに関してはちゃんとさまざまなキャラクターに焦点が当たるので、登場人物がかなり多く似た名前が多いにも関わらず、どの人物のことも嫌いになりきれないのがにくいところ。
ただそれ故に視点と時代が飛ぶせいで読みにくさは多少ありました。山内の過去などは結構酷めの描写が多くて、もう少しカットするか、それこそ麻生に突きつけた方が良い真実だけれど、決して山内は同情を求めたりするわけじゃないので一生彼には明かさないんだろうな…といち読者として感じます。
麻生がしたことを全て知っているのは読者と山内だけだけれど、それなのになんだか麻生のことが嫌いになりきれないのはとても不思議でした。
山内がひとを惹きつける匂いを生まれつき持っているんだとしたら、麻生は生まれつきそういう魔性の面を無意識に持っているのかもしれない。
正直面白かったんですがだいぶん体力と精神を持っていかれたので、できれば次は優しい話が読みたいです…