
にょきな
@nyoki_123
2026年5月10日
おはん
宇野千代
読み終わった
すごい日本っぽい湿っぽい小説だった。
とある男が女に二股をかけてああでもないこうでもないといじいじし続けるはなし。
元妻の堪え忍びつづける様、今妻(芸妓)の図太く我が強くやり手な様が対照的だ。
男がずっと消極的選択をし続けて、いいとこ取りをして宙吊り状態を続けている様が架空の方言で語られていく。
男は始終客観的に自分の置かれた状況・気持ちを表現するが、それがよりいくじのなさを強調していて現実の自分と重なっていらいらして面白かった。(分かってんならどちらかに意思を振り切れよっていう)
最後に取り返しのつかないことが起きて、元妻は共依存から抜け出して自立するが、
男と今妻は小説開始時点と同じ共依存でそれなりに幸福な宙吊り状態に戻るのが良かった。
解説が白眉だと思う。解説まで含めると読んでよかった本。
解説者はこの小説を人形浄瑠璃のようだと言うが、全く同意できた。男の客観的な自分語り、女性作家が男の目を通して描く女たち、独特な語り口調による湿っぽい男女関係。
男は女に求められていい顔し続けるのは楽しくて、承認欲求がみたされるけど責任もつのはめんどいものだし、
女はそういう何考えてるのか分からない(なにも考えてないから)
自分にいい顔をしてくれるけど
いなくなってしまいそうな男が魅力的に見えるもんだよなと思った。現代なら男女関係ないかもしらんけど。結局共依存なので苦しければこそ元妻のように抜け出るしかないもんな。
しかし百年一昔というか、作者は明治後半生まれ、書かれた時期は戦後にもかかわらず江戸時代の話のように感じてしまった。
少し前の日本人が抱えていた心理から私はずいぶん遠く離れてしまったようで…。
