うーえの🐧 "クリティカル・ビジネス・パラ..." 2026年5月29日

クリティカル・ビジネス・パラダイム
⭐️⭐️⭐️ 毎日一生懸命に働いたり、日々の買い物をしたりする中で、ふと「私たちはビジネスを通じて、一体どこへ向かっているのだろう?」と立ち止まりたくなることはありませんか。 物質的な豊かさは十分に達成されたはずなのに、なぜか社会には閉塞感や無理が漂っている。そんな漠然としたモヤモヤに、ひとつのあたたかな光を当ててくれるのが、今回ご紹介する山口周さんの『クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ』です。 【ビジネスの「歴史的使命」は終わったのでしょうか】 これまでビジネスの世界では、「安全で、快適で、便利な社会をつくる」ことが大いなる使命でした。そして、その目標はすでにかなりの部分で達成されています。 しかし、私たちは今もなお、消費者の欲望を無批判に肯定し、ひたすらに利益を追い求める「アファーマティブ(肯定的)なビジネス」のレールの上を走り続けているのではないでしょうか。その結果が、環境問題や社会の分断といった形で、今の世界に少しずつ「ひずみ」を生んでいるのかもしれません。 【社会のあり方を問い直す「クリティカル・ビジネス」】 本書が提示する「クリティカル・ビジネス」という新しいあり方は、そんな私たちに静かな問いを投げかけます。それは、単にモノやサービスを売って利益を上げるだけでなく、「今の社会のシステムや価値観は、本当にこれでいいのだろうか?」という社会への批判的(クリティカル)な視点を持つビジネスです。事業活動そのものを通じて、社会の不条理を正す「社会運動」を実践していくアプローチとも言えます。 【 「お客様」から、ともに価値観を変える「共犯者」へ】 読んでいてとても印象的だったのは、企業と私たちの関係性が根本から変わるという視点です。これまでのビジネスは、顧客の要望にひたすら応えるモデルでした。しかし、クリティカル・ビジネスでは、企業が自らの確固たる哲学を掲げ、時には顧客の「当たり前」を疑い、価値観を揺さぶります。 たとえば、スマートフォンを頻繁に買い替える大量消費のサイクルそのものを問い直し、修理しながら長く使える製品を提示する企業があります。そこでは、私たちは単なる「お客様(消費者)」ではなくなります。企業の理念に共感し、ともにより良い社会を目指す「共犯者(コ・アクティヴィスト)」として、新しい連帯で結ばれるのです。 【働くこと、消費することの意味を見つめ直す】 「働くこと」や「消費すること」の根本的な意味が揺らいでいる今、ビジネスはもっと人間らしく、社会をより良くするための運動になり得るのかもしれません。自分の日々の営みが、少しでも社会を良くする一歩に繋がっていると感じられたなら、それはとても心強いことではないでしょうか。 これからの働き方や、ビジネスの存在意義について少し迷いを感じている方に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。当たり前だと思っていた社会の景色が、読後は少しだけ違って見えてくるかもしれませんね。
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