gami
@gami
2025年3月26日

はやくはやくっていわないで
平澤一平,
益田ミリ
ページをめくるごとに見開きいっぱいに大海原が描かれる。でも誰かと比較され、焦ったりひんやりしたり自分でもわからない気持ちになると、海は激しい色彩や真っ逆さまに落ちるような筆使いになり、白い舟の子は翻弄される。ままならない。
しかし、声にならない声はずっとつぶやく。なんでみんなそんなに急ぐの。頭でわかってもわからないことや言えないことがたくさんあるよ。でも海の中の生き物たちのように、みんな大きさも得意なことも好きなことも違うよ。みんなのペースがあるんだ、わたしにも。だから、はやくはやくって言わないで。
舟の先に一羽のかもめが止まる。
海からしたらなんとも小さいかもめの、目に見えない大きさや温かさあなたのことを笑わないよ。「まっててくれる?まってるよ」。
改めて、大きな海は私たちのままならない感情であるとともに、ままならないこの社会の動きだろう。でも最後のページの海は、青くて広くておだやかだ。舟の子は、ありのままの海のありのままの美しさを見れたんじゃないかな。
僕も、この海を見れるようになりたい。大人でも刺さる人は多いはずだ。著者はエッセイの方が有名だけど僕はこの本が気に入っている。