Nouma "宝島" 2026年8月14日

Nouma
Nouma
@ann0uman
2026年8月14日
宝島
宝島
真藤順丈
WW II終戦後の沖縄の動乱を描く。アメリカによる不条理な犯罪や統治、日本(ヤマトゥ)の対応の問題などが沖縄視点で語られて、新鮮に感じたと共に自分の無学さを恥じた。沖縄に存在する米軍基地から物資をくすねる「戦果アギヤー」であり英雄であるオン、オンを兄(ヤッチー)としてもつ弟のレイ、オンの親友(イイドゥシ)のグスク、オンの恋人(ウムヤー)のヤマコ。それぞれがヤクザ、警察、教師となる中で、失踪したオンの行方とあの夜の真実を探していく。 全体を通して時折混ざるうちなーぐちの語り手(ユンター)やルビが物語に軽妙なリズムを生んでいて斬新だったり、登場人物の心情や情景の描写が丁寧で理解しやすかったりして、どんどん読むことができた。ストーリーも奥深く、最後の伏線回収には舌を巻いた。非常に良い読書体験になった。 *以下ネタバレ含む感想 オンはあの夜、「予想外の戦果」を持ち出した為に失踪した。それは米軍の高級官僚クラスの大物が島の娘に孕ませた赤ん坊だった。赤ん坊を抱えたオンはそのまま基地から離れ、赤ん坊を人質に取られながらクブラの密貿易を助ける。悪石島から本島へ戻る際もクブラによる応戦に遭い、辛くも本島に帰還したオンは洞窟(ガマ)で息絶える。そこから赤ん坊は喋ることのできない微笑むだけのウタとして、グスク達の前に姿を現した。そして、日本復帰の前に、レイ達によるキャンプカデナ襲撃の夜に米兵に撃たれて命を落とした。 ガマに出入りするウタをヤマコが見かけていたが、そこに失踪していたレイがいて、武器を集め蜂起の時を狙っていると予想していた。無名の戦果のばら撒きやグスクが捜査する毒ガス等の背景からすっかり信じ切った上で読み進めていたが、最後にそれがミスリードだったことが明かされ、驚いた。
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