
木村久佳
@kuCCakimura
2026年9月13日

レモン
クォン・ヨソン
読み終わった
非常〜〜〜〜におもしろかった。ある殺人事件とそれを取り巻く人たちの暴力性の物語。
連作中編ともいえる構成で、それぞれ事件の関係者の一人称で語られる。姉を亡くした妹、その妹と仲が良く死んだ姉の同級生だった女性。被害者、加害者、ヤングケアラー、家父長、母、友人。様々な属性が入り組んでいて、それぞれの思惑も錯綜して、一筋縄ではいかないミステリ小説。
印象に残ったのは事件後に被害者の妹と再会した友人との会話。妹をカフェに誘った友人に対して、なんでもかんでも打ち明けると思った? 何かあったらいつでも話してって連絡先を教えようと思った? って部分は、近しい人が事件に巻きこまれたときその周辺の人々全員が抱いてしまう暴力性なんだと思った。それはあまりにも自然に芽生えるから誰も避けることができない。無視しても、カフェに誘っても、憐れんでも、何を選択しても、事件の当事者でない人間が全員備えてしまう凶器。
本文の中でも後書きでも、この本は詩というものを大事にしている。美しくて品があって、だけど時折真に迫る言葉選びで、時間も忘れて読み耽った。落ち着いたらもう一回読みたい。




