
ぱぴ
@Papi_7718
2026年9月16日

さらさら流る
柚木麻子
読み終わった
@ 自宅
読了。
装丁の美しさとは裏腹に、なんて重たいテーマなんだ...と思いながら読み進めていたけれど、読み終えたいま、あらためて本を閉じ、ようやくこの装丁の本当の美しさを理解できたような気がする。
暗渠、という存在をはじめて知った。
-まるで東京の地下に見えない水が今も流れているように、こちらにはそうとわからぬよう、家族に守られてぬくぬくと暮らす菫に怒りや妬みを抱いて、発酵させていたのだろうか。
春と夏、夜と朝の狭間に菫と光晴がふたりで長い時間をかけて暗渠を辿る描写には、ずっと湿気が纏わりついていた。菫が当時の光晴を思い返し、彼の歪みに触れた途端に、実際には感じたことのないはずのその湿気に包まれ、額が汗ばんだ気さえした。
菫が自分自身に起きた、起きてしまった出来事を家族に打ち明ける場面はいたたまれなくて、涙が溢れた。
菫に、家族や百合がいてくれてよかった。
いてくれてよかったし、そんな家族や百合がいることこそが菫の強さの土壌でもあるのだ。
自分のいる環境を引け目に感じる必要などどこにもなく、かといって他者に対してそこからなにかを分け与えようだとか、逆に縋ったりもする必要はない。わかりあうことなんてそもそも不可能で、でも無意識にわかりあおうとするから、人間関係にひずみが生じていくんだろうなと感じた。
自分の力で前に前に進んでいく菫を、ぎゅっと抱きしめたい。