ワタナベサトシ "製鉄天使" 2025年4月28日

製鉄天使
製鉄天使
桜庭一樹
『赤朽葉家の伝説』を読み終えたので、スピンオフの本作を読む。……が、初っ端からライトノベルともちょっと違う、70年代のノリ(本当か?)が炸裂していて、小っ恥ずかしくてニヤニヤ笑いが止まらない。読みにくい、読みにくいぞっ! 赤朽葉家〜からキャラクター名などはより荒唐無稽なものに変更してある(解説の大森望さんがいうところのフィクションになっている)けれども、大筋は原作第二章の流れを踏襲。だからあの悲劇は起こる。止められない。どうすることもできない。落涙……! リアリティラインをぐんっと下げ、強烈なカリカチュアライズにより、文章を読むだけではなにが起こったのかまったくわからないような強引な展開もありつつ、ノリと勢いで読み進める。実際の当時の不良たちはもっと陰湿で醜悪な存在だったと記憶しているが、これはファンタジー。 『赤朽葉家の伝説』を読んだあとに本作を読む流れで間違いないと思うけど、本作を読んだあとに正典『赤朽葉家の伝説』へ戻る流れはどうだろう。戸惑うかな? スピンオフでは仄めかすだけではっきり描かれなかったサブキャラの背景や顛末が事細かに描かれているから、正典もぜひ。
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