
ワタナベサトシ
@mizio_s
2025年4月28日

成功者K
羽田圭介
買った
読み終わった
テレビ番組で自著の表紙を前面にデカデカとプリントしたTシャツを着る著者の姿を何度も見ている。
そのときに感じた印象がそのまま小説の中で裏付けされてゆくような・答え合わせを読まされているような・ほらやっぱり芥川賞で有名になっていく人はこういう感じなんだよ、と言いふらしたくなるような……。
つまりコレ、ここまでの読者の反応をも“込みで”、すべて著者の手のひらの上で操られてしまっているのだ。
テレビで見る姿と同じくチャーミングな人だなぁ、との読後感を抱いてしまうことからして、何重にも周到に仕掛けられた策の中で待ち構えられていた、想定内の反応なのだろう。
著者自身が主人公と重なる小説は数多くあれど、読者が小説の中に吸い込まれ、取り込まれ、絡め取られて翻弄されるという、“当事者として”楽しめる小説だ。
あまり感じたことのない怖さも感じている。新鮮な感覚を呼び覚ましてくれた。