千野 "チェンソーマン 6" 2025年6月18日

千野
@peperon-candy
2025年6月18日
チェンソーマン 6
【レザ編の秀逸さとは対比構造の巧妙さである】 チェンソーマン-レゼ編では寓話の「都会のネズミと田舎のネズミ」を用い、デンジとレゼ、早川と天使の2組を対比させて物語が進む。 レゼは危険のない田舎のネズミが良いと言い、田舎でも危険と隣り合わせだったデンジは、美味しいものが食べられる都会のネズミが良いと言う。 対して天使は、早川は都会のネズミだ言い、自分はマキマに無理やり連れてこられただけの、都会の喧騒に付き合いたくない田舎のネズミだと言う。 それぞれ田舎のネズミvs都会のネズミたいう構造であるが、デンジ組は仲良く過ごし、反対に早川組は衝突しあって過ごす。 しかし天使は台風との戦いで早川に命を助けられ、「自分の目の前で誰かが死ぬのはもう嫌だ」と言うセリフから、実は早川は復讐心から悪魔退治をしているだけの田舎のネズミであることを知る。 後ほどのストーリーで明かされるが、天使は自分の能力である他人の命を奪う行為に後ろめたさを感じていて、本当はこれ以上人を殺めたくない(=田舎のネズミとしてのんびり暮らしたい)と思っていることが分かる。 実は2人ともが田舎のネズミであり、悪魔の存在により都会に居ざるを得ない状況であるという共通点があると悟った天使は、それ以降早川に協力するようになる。 そのことは最後にレゼを殺す際、マキマに命じられたにも関わらず早川を呼ばなかったことからも伺える。 (早川の目の前でレゼの死を見せないようにするためであり、ネズミに都会は良いところかい?と聞いていることから、都会のネズミにならざるを得なかった早川へ協力しようとしていることを示唆している) 終始仲良く過ごしていたデンジとレゼは、レゼからの田舎に逃げようとという提案を発端に衝突したが、最終的にデンジからの歩み寄りで2人で田舎に逃げる約束をする。 しかし、レゼは最終的にマキマに殺される。なぜならレゼは都会のネズミでも田舎のネズミでもなく、ロシアのモルモットだったからである。 寓話「都会のネズミと田舎のネズミ」には、モルモットの居場所はない。
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