
ワタナベサトシ
@mizio_s
2025年7月5日

あなたの人生の物語
テッド・チャン,
浅倉久志
再読中
かつて読んで(2003年邦訳時)、映画『メッセージ』公開時(本邦2017年)に再読。先ごろ、カート・ヴォネガット『スローターハウス5』を初めて読んで、この小説集のことを想起したので、2025年に三たび読んでみる。
「バビロンの塔」
屋根を掘り進める場面がとても美しい。その先に何があるか、思いつくパターンは幾つもあるだろうけど、本作ではまあまあ無難な感じ。
「理解」
『アルジャーノン』みたいなオチを期待しつつ読み進めて、肩透かしをくらう。手塚治虫作品(『火の鳥』シリーズ?)みたいな雰囲気を感じる。
「ゼロで割る」
「あなたの人生の物語」
映画『メッセージ』は映画としてケレン味ある見せ場を作っていたが、小説の主眼はさらにその先の未来。映画とは物語の終幕にむけて目指しているところがずいぶん違う。
「七十二文字」
「人類科学の進化」
「地獄とは神の不在なり」
もっとも好き。天使の描写はアニメ『エヴァンゲリオン』の使徒を思い起こさせる。この短編もぜひ映画化してほしい。
「顔の美醜について-ドキュメンタリー」
これも映画で観てみたいし、それが叶わなくても長編小説として読んでみたい。書かれたのは2002年で、スマホも無く、画像検索や動画配信もなかったころ。2025年現在に読むことで未来予測の正確さにも驚く。相貌失認(美醜失認)もあり得るし、音声や感情も操作されうるだろうと、今ならよりいっそうリアリティを感じられる。