今回もすごい内容だった。 この時代の発想としては素晴らしかったし、今でも危機感を持たなければならない視点ばかり。 事件捜査中に同僚から言われた言葉に思わずハイライトをつけてしまった。 「ゆっくり気をつけて進むんだ。重要なことを捨ててしまわないように。そしてどうでもいいことを大事にしまい込んだりしないように」 「おれはよく、警察の仕事はイーゼルの前に立つ絵描きのやることに似ていると思う。何本か線を引いて色を塗り、一歩下がって全体を見る。それからまた前に出て同じ行為を繰り返す。そのような動きを何度も繰り返すのだ。この、後ろに一歩下がるというのがいちばん大切なのではないかとおれは思う。そのとき、目の前にあるものがなんなのかが本当に見えるのではないか」 でもちょっと全体的に寂しかった。 特に主人公の周りとの人間関係での躓きが、自分に重なるところがあって、辛くなった。