@Oishiicaketabena
2025年2月28日

眩(新潮文庫)
朝井まかて
読み終わった
葛飾北斎の娘、応為(お栄)の日々。ゴールは『三曲合奏図』の完成ではあるけれど、それはほんのおまけのようなものに感じられた。
粋なキャラクターがいくつも出てきて、本当にどうしようもない馬鹿な人もいくつか出てくる。
人生には、小説ほどは奇跡が起こらないよな、と感じてしまう作品。だけど時太郎は(少なくともあの一瞬は)嫁子供のために覚悟を決めたように見えたし、北斎は回復し、お栄は大切なお見送りに間に合う。よくもわるくもあれほど真摯な人生に対しては、絶対にそれくらいの報いがあっていい。