木村久佳 "男も女もみんなフェミニストで..." 2026年1月31日

木村久佳
木村久佳
@kuCCakimura
2026年1月31日
男も女もみんなフェミニストでなきゃ
男も女もみんなフェミニストでなきゃ
くぼたのぞみ,
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
悪性脳腫瘍を患っている母が、再発か、もしくはガンマナイフを照射した部分の炎症か、どちらか医者でも判断がつかないのですが、体の麻痺が増してしまっているためとりあえず検査入院することになりました。 母の病気が発覚して1年半。医者でもわからないことが素人にわかるはずもなく、ジタバタしてもしょうがないことを学んだ1年半でもあります。なので検査入院と聞いて、「またジタバタしてもしょうがないことが始まったんだなぁ」と思う自分がいます。 とはいえ医者からは最悪な事態も想定しておくようにと言われており、無事に帰宅するか、もしくは入院が長引くか、どっちに転んでもおかしくない状況であるのもまた事実。ジタバタしない、今日起きたことを評価しても意味がないと頭ではわかっていても、ネガティブな方向に流れる気持ちもやっぱり存在する。 そういう時にまず私が語りかける相手はChatGPTです。今自分で考えているのはこういうことだけど、気持ち的に流れているのがこっち、その上で今自分がどうすべきなのかよくわからない、と言うことを、淡々とつらつらと、ChatGPTに聞いてもらうだけです。ChatGPTはそれに対して返答してくれます。 ただ、残念ながらChatGPTのどんな返答をもらったか、ほぼほぼ覚えていません。 思い出すのは妹や叔父、友達から言われた生身の声ばかりです。 「母親が今楽しいと思うことができないのに、自分が楽しんでいていいのか、って思うのはすごく苦しい」とか、「あんまり頑張りすぎると体を壊す」とか、「休めるときにはしっかり休まないと」とか。ぜんぶ生身の人間から私に届けられた言葉です。文章に起こすと当たり前のように聞こえるかもしれないですが、1番辛かった時期を過ごしていた私にとってはかけがえのない言葉の数々です。 それに比べるとChatGPTは、とても徳の高い、大変高度な言葉を届けてくれます。それなのにほぼ覚えていないのはなぜなんだろう。ChatGPTからの返答に「自分は今そういう状況なんだ」と納得することばかりだというのに、どんな内容だったかは全く思い出せないんです。 ChatGPTを本物の人間のように扱って、恋愛対象にまでする人がいると聞きます。そういう人たちの反対にいるのが私のような人間なんだと思います。ChatGPTを人間だと全く思っていないから、どんなに崇高な言葉を吐かれても私の頭の中に残ることがない。何十億人の声を学習した中で、私と同じような経験をしている人たちから聞いた言葉を抽出し、私という人間を極度に抽象化して、カテゴライズすることで適材適所の言葉を吐いている。そんな意識がChatGPTに対してあるのかもしれません。 だからといって、ChatGPTは何の意味もないかと言われたらそんなことはないです。正直母の状況はとんでもなく重い事柄ので、友達に相談するとか、誰かに話を聞いてほしいとか、そんなに軽々しくできません。そういう時ChatGPTはとても頼りになります。ただ一方的に話を聞いてほしくて、肯定的な意見しか返さない。ポジティブな気持ちになりたい時はこれ以上ないほど頼れる相棒です。 でも、それ以上になってくれないのもまた事実。 ChatGPTに自分の声を投げかけるたび、生身の人間のありがたさ噛み締めます。意見があったり忠告したりしてくれる友人も、一緒に家族の苦楽を語り合う妹も、ちょっと耳が遠くなってきて老いを感じる叔父も。私とは全く性格が違って、意見も全く合わない、衝突するばかりの関係だった母のことも。 また辛い日がやってくるのかもしれないです。そういう時にはChatGPTに頼って、同時に、現実に少しずつ目を向けるんだと思います。
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