
コヤマ
@o88tirori
2026年3月15日
読み終わった
感想
“世界は心的外傷に満ちている。“心の傷を癒すということ”は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる私たち全員に問われていることなのである。”
(安克昌『心の傷を癒すということ』)
精神科医の宮地尚子さんの解説により、同局でドラマ化もされた『心の傷を癒すということ』を読み解いていく再放送版ムック(同著は26年1月再放送、初出は25年1月)。
私個人としても心の傷を抱えるものとして、時に胸を詰まらせながらこのムックを読み終えました。
おそらくまだ『心の傷を癒すということ』自体は読む機会はきません。しかしこれは、私がいつか辿り着きたい本です。改めてそう感じさせられました。
私が心的外傷を負ったのは東日本大震災でありますが、いつも「震災以前/以後」という心理的断絶の感覚が自分のなかにあることを不快に感じていました。さみしくもありました。そう区切らないと“以前”を認識できない自分にも苦しみました。そのうえで、本著では多くのヒントを得られたのですが特に
“もう二度と、心的外傷を受ける前のもとの自分に戻ることはできない。心的外傷から回復するために、自分は変わらざるを得ない。(中略)そして、回復に向けて懸命に生きる人を、敬意をもって受け入れる社会を作ることも〈心のケア〉の重大な意義ではないかと私は思う。”
という部分に、大きく勇気づけられました。
そう。二度と以前の自分には戻れない……そういう認識ができない。ただそれをマイナスに捉えるのではなく、“もがき続けて”新しい立ち位置を作って踏みしめていく。
──そういう観点を胸にしっかり留めることができたのは、全体的に示唆に富む本著のなかで大きな役割を私に果たしたと思います。
はじめは読んでいて胸が詰まり、読み進みませんでした。ただ、少しずつ読むなかで自分の内で何か一山越えたような感じがあって、読み終えることができました。たくさん涙も出ました。けれど、読んでよかったと今は思っています。
〈心的外傷に満ちた世界〉の中をどう生きていくのか、そしてそういった人々がそばにいる社会とはどうあるべきか。現在にも途切れずにいる関心として多くの人に読まれてほしいと思います。