名君の碑

2件の記録
- もくず@mokuzuuu2025年3月9日読み終わった稀代の名君と呼ばれる、保科正之の生涯の物語です。事情があって、実の父親である徳川秀忠の手によって徳川家ではなく、現在の長野県あたりに領土を持つ大名の家に育ちますが、まっすぐ育っていく彼がよかったです。そして何よりゾクゾクしたのが自分を捨てた実の父親との心理的な対立と、自分を見出してくれた兄の徳川家光への愛情です。ここにもう少しページを割いて欲しかったのですが、作風上そうではなかったので少し残念でした。 そして、君主になるのですが、彼も失敗することがいっぱいあったり、心が病んでしまいそうなほどの非情な決断を下したりすることがあったりして。君主と言うものも、最初から有能なわけではないと言うふうに思いました。失敗から学んで、会津藩へと移る彼ですが、そこからの快進撃がかなり面白い。 歴史書レベルの淡々とした筆致なため、少し主人公に感情しにくいところもありましたが、そこはまぁ仕方がないとして。数少ない保科正之の本格的な歴史小説として貴重な1冊です。