ファイティング・チャンス

ファイティング・チャンス
ファイティング・チャンス
ルイーザ・リード
岩波書店
2025年9月9日
2件の記録
  • はな
    はな
    @hana-hitsuji05
    2025年11月29日
    文章がとても短い上に母のパートと主人公リリーのパートに分かれるので、あっという間に読んでしまった。読みながらその場面が脳内でパッパッとフラッシュ映像みたいに再生される。 あとがきでは「英語圏のヤングアダルト小説が散文詩で書かれているものが増えている」とあり、原作はもっと詩のようにかかれているようで、日本語訳する時は原作者に了承を得てもう少し文章の部分を増やしているみたい。 増やしたといっても短いので、書かれたことを表面的に受け取ってしまい、リリーや母の苦悩、それぞれの人物背景が自分には少し浅く感じて伝わりづらい気もした。物語というより詩だと思いながら読めば良いかも。 本を読むのが苦手だったり、1年前の自分みたいに久しぶりに読むから長い文章どうかなと思う人の1冊目に良さそう。 リリーを標的にしたエイダンのいじめがもう本当に、言葉を選ばないならクズ…。そして周囲の傍観や加担も本当にたちが悪い。 個人的にはそこまで他害するティーンの家庭環境とかすごく気になったけど、彼らの行動背景がほとんどわからない。 暴力に対して暴力で返すのは同じ土俵に上がったことになる、みたいな諌め方もあるけど、プラマイ0にするのは許してほしいよな。嫌なことばかりしてきたやつには、きっちりやり返したいと思っちゃう。 リリーは自分がされたことをうまく、全て、言葉には出来ない。だからと言ってそれがなかったことにはならない。表現出来なかったことの方に沢山の事実や真実が隠れているのだろうなと改めて思う。 新しい場所で良い人たちに出会えて、それまでなら考えられないような挑戦をしていくところがとっても素敵だった。ただ、そうなることで変化のない母に対しての眼差しが変わってしまうのがなんとも。 終盤に母がどんな人だったか気づく場面が、1番素晴らしかった。 そして父親はリリーの母に、母はリリーに変わってほしくないような描写に首を傾げてしまった。 「そのままのあなたでいい」ってとても嬉しい反面、変化を求めている時にそれを阻害してしまうような気がする。 大人も壁に行く手を阻まれて苦しむ時期があってその状態から変わりたいって思っているけど、周囲以上に自分自身が1番それを邪魔するんだよね。 「勝っていい」という言葉が「変わっていっていい」という別のニュアンスで響く。 そうやって変化していくあなたになっていいって言われたみたいに感じた。
  • はな
    はな
    @hana-hitsuji05
    2025年11月27日
    以前どこかで見かけて気になっていた本だったと思う。図書館の貸し出しカウンター前で目があって、あれ!以前お会いしましたよね?!みたいな感じで手に取る。 太っている主人公に対する悪質ないじめのシーンに顔が歪む。 併読してる本で能力主義について悶々としていたところ、ここでも中々の… 欧米って日本とはまた違う感じで肥満は悪みたいな思想強めの印象がある。 健康を目指すことは良いことだけど、強い自己責任論で差別されるのはなんか矛先が違うというか問題の本質はそこじゃない感じする。 最近、パッと見で判断しやすい物事に対して疑問が多い。すぐにそんな風に人や物事を判断して大丈夫なのか?あと幾つかの事実が見えた時、愕然とすることがあるんじゃないのか?とか考えてしまう。 人間の生存戦略はおそらく社会性なんだけど、「自分ごとの政治学」の中で保守思想の父といわれるエドマンド・バークの言葉「不完全な理性を持った不完全な存在である人間が構成する社会もまた、不完全なまま推移せざるを得ないのではないか」と書かれていて、そのことを思い出したりしてる。 人間ってそんなに他の生物や他の人より高等でも完璧でもないよね…
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