プレップ経済倫理学

プレップ経済倫理学
プレップ経済倫理学
柘植尚則
弘文堂
2014年10月20日
1件の記録
  • 「経済における倫理的な問題について考察する場合でも、そこで求められているのは、経済を相対化する視点です。ここに、『倫理学』としての経済論理学の大きな意義があります。」 「消費には、それ以上の『意味』があります。では、その意味とはどのようなものでしょうか。 たとえば、アメリカのヴェブレンによると、消費は、個人の社会的な『成功』や『地位』を示すものでもあります。そこで、人びとは、しばしば、みずからの効用を実現することよりもむしろ、自分の成功や地位を他人に示すことを目的として、清費を行うようになります。その動機は、必要よりもむしろ、見栄や競争心であり、そうした動機にもとづいて、人びとは必要以上のものを浪費するようになります。ヴェブレンは、そのような消費を『顕示的消費』と呼んでいます。 ヴェブレン自身は、おもに、当時の上流階級の費を問題にしていました。ですが、それと似たような費は、中流・下流階級にも見られます。また、現代でも、多くの人は、自分の成功や地位を示すために、たとえば、いわゆる『ブランド』の商品を買ったりしています。現在は、このような清はすべて、顕示的消費と呼ばれています。 ただ、ブラント商品を買うのは、自分の成功や地位を示すためだけではありません。たとえば、自分らしさや他人との違いを示すために、つまり、個性を提示するために、ブランド商品を買うこともあります。さらに言うと、ブランド商品に限らず、ほとんどすべての商品を買うさいにも、人びとは、その商品がもつ「イメージ」を考慮します。そして、そのイメージを、自分の『個性』『感情』『気分』などを示すものとして利用します。その場合、人びとは、商品よりもむしろ、商品がもつイメージを買っているのです。 では、なぜそうするのでしょうか。それは、主として、特定のイメージをもった商品を費することで、自分の個性、感情、気分などを、他人に伝えるためです。言い換えると、他人とのコミュニケーションのために、商品が示すイメージを買っているのです。このように、消費には、コミュニケーションという役割があります。  消費は、言語によらないコミュニケーションの一種です。言語の場合、言葉という『記号』を介して、コミュニケーションが行われます。それと同様に、消費の場合、商品という『記号』を介して、コミュニケーションが行われます。それゆえ、消費は、欲求の充足や効用の実現のためだけでなく、他人とのコミュニケーションのためにも行われるのです。言い換えると、消費するとは、商品という記号を消費することでもあるのです。このような考え方は、一般に、『記号消費論』と呼ばれています。それをいち早く唱えたのは、7ランスのボードリヤールです。 以上に見たように、消費は、社会的な成功や地位、自分の個性、感情、気分などを示すものでもあります。これらが消費のもつ意味とされています。」
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