死ぬということ
5件の記録
三鷹@mitaka1232026年5月27日読み終わった著者の黒木登志夫先生は、本書が出版された翌年の2025年に亡くなられたそうです。ご冥福をお祈りいたします。 本書は、主に医学的な見地から「死ぬということ」を分かりやすく解説した一冊です。詩歌や文学作品に描かれた「死」も豊富に紹介されており、読みながらさまざまな視点に触れることができました。 なかでも印象的だったのは、いわゆる「ピンピンコロリ」が理想的な死に方だと言われがちですが、著者が示した膨大な調査と取材結果からは、実際にはそうとは限らないことが浮かび上がってきた点です。 高齢化社会が進む中で、自分自身の死について考える時間や機会は、これからますます増えていくでしょう。そのときに備えて「自分の希望を伝えておく」「遺された人の負担を軽減する準備をしておく」ことは、決して特別なことではなく、元気な「今」という日常の自然な延長線上にあるものなのだと、認識が改まりました。 引用されていた文学作品はどれも心に残るものばかりでしたが、特に茨木のり子の 「死こそ常態 生はいとしき蜃気楼」 という言葉が強く印象に残っています。 いとしき蜃気楼を、私はいつまで見ていられるのだろう。見えている間は、この美しくかけがえのない景色を大切に、しっかり味わおうと思いました。 黒木先生の文章は、真剣なテーマを扱いながらも、ところどころににじむお茶目な語り口が魅力的で、最後まで飽きることなく読み進めることができました。
