袖口の動物

袖口の動物
袖口の動物
杉本真維子
思潮社
2007年11月1日
1件の記録
  • 第一の読後感としては、とても面白かったです。杉本先生はとにかくご自身の言葉を使っていらっしゃっているように感じられ、なのでとても読みやすく、休日一日で読み終えられました。 面白いと書いたのは、「果て」の「ぬああああ」という一行と、「やさしいか」の「ねえ耳かして/死んで二度と生まれてくるな」の二行に、私は大笑いしてしまいました。私には、詩人が優しく感じられましたが、それはともかく、作者の言葉への誠実な態度は、紛れもなく真率なものであり、私は一本取られた、と兜を脱がざるを得ませんでした。 真率な態度とは、本詩集においては、「笑う」の、「黒い背がいっしんに屈み/ばらばらの顔を丁寧に並べていくと笑う」の二行に、まず現れているもの、と感じました。つまり、私は、ばらばらの顔とは、詩人のモンタージュだと読んだのですが、己の顔に出会ったとき、誰しもが笑わざるを得ないものだと、深く納得させられたのです。 ただ、やはり、女性の詩人は注意深く受け取らなくてはならなくて、「貨物」の冒頭、「知らない女に、喉の皮を鋏の先でちょっと切られた/血はあまり出なかったが、ふと友情のようなものに気づいた」という二行は、私には悩ましく感じられました。多分、半分以上の男性には、この二行の感覚は理解し難いものではないでしょうか?説明し難いのですが、悪意のようなものから始まる友情というものが、男性からだと見てあるのか?私には疑問に思われるからです。 もちろん、芸術がちんぷんかんぷんの私に、詩集のほとんどは不可思議なものに映るのは、当然ですが、そんな私にも、本詩集は、快く読むことができたのでした。
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