昆虫放談 新装版

昆虫放談 新装版
昆虫放談 新装版
小山内龍
築地書館
1991年7月1日
1件の記録
  • 昭和15年といえば、日独伊三国同盟があった年なのだから、戦争の気配がひたひたと足元を浸すように感じられたはずなのに、ここでは、蝶に魅せられた漫画家が蝶の卵を採取して羽化しないことを嘆き、ついに羽化したことに歓喜し、気持ちの良い5月になれば、東京近郊に蝶を追って出かける話が前景におかれ、そんなことに気を掛けてはいられないと言った風でもある。 しかし、同時に、不意にノモハンでソ連と戦って生き延びながら、ソ連と満州の国境におかれた甥から蝶が届くという後景もおかれ、やはりそうかという思いと、同時に、叔父のために、戦場で蝶を採取した甥の行末のことを想像して、慄然とする。 そういう風なのかと思い、そういう風になってしまわないように願う。
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