大工日記

2件の記録
- yumaharada@yumaharada2025年4月6日読んでる読み終わった栞日さんで購入。自分の現場での思い出と重ねながら読む。僕が缶コーヒーを飲まなくなったのは、現場の優しすぎる先輩がいたからだ。朝、集合したときに2本、10時の休憩に2本、お昼に2本、15時に2本、帰り際に2本。一日中缶コーヒーで、最後には飲みきれなかった缶コーヒーを先輩が帰り際の缶コーヒーをコンビニに買いに行く間に、そっと外に並べ続けた。その狂気のような優しさが嫌いにはなれず、結局、嫌いになったのは缶コーヒーだった。そんなことを思い出す。大工日記は大工現場だけでなく、著者の人生のぼやきと喜びが重ね合わさっていて、目の前に人物が浮かび上がる小説のようだ。日記という形式が現場での日々との日常が繋がり心地よい。p120「この世界の一分一秒すべて、わたしのものだ。」という宣言がこの本の一番の気づきかもしれない。短い言葉だけが残ると時に暴力装置になりうるけど、日記形式でのぼやきは、「わたし」に気づき「だれか」の存在が自然と優しさを内包する。良い本だ。関係ないことだけど、本文に何度か出てくるジェロームはあのジェロームだろうか。