完本うづら衣新講 (1958年)

完本うづら衣新講 (1958年)
完本うづら衣新講 (1958年)
岩田九郎
大修館書店
2件の記録
  • 匙
    @sajisann
    2026年1月14日
    鶉衣を読むなら断然この本と強くおすすめいただいた。
  • 匙
    @sajisann
    2026年1月14日
    朝寝辞の抜粋 “三四五月の短夜に、枕加減のよき比は、朝寝こそ又おかしけれ。(中略)いつもの豆腐うりの聲行過て、車井の走るおと、雀の餌はみにあつまり鳴(なく)など、幽閑の情にたへぬ折しも、けうとき物申(ものまう)の聲に胸つぶれて、雨戸一本おしあけたれば、空は四ツ比にもたけ過て、さし心得たるわらはのくみ置たる手水湯は、名ごりなくさめきりて、その奉公の水になるもかはゆし。” 口語訳 “三、四、五月の夜が短くて、朝の寝心地のよい頃は、朝寝もまた面白いものである。(中略)(寝床の中で聞いていると)いつも通る豆腐売りの声がゆき過ぎて、車井戸のガラガラとつり上げる音がきこえ、雀が餌を食いに集まって鳴くなど、物静かな思いでいる時に、余り好ましくもない「御免下さい」という声に驚いて、雨戸を一枚押し開けると、空はもう十時頃をすぎたように昼近くなって、気の利いた童の汲んで置いた洗面用の湯も、すっかり冷えて、その主につくす心もちもむだになってしまったのも気の毒だ。” もう朝は始まりつつあるけど締め切った室内は夜の延長で、その薄い透明な暗闇で朝の町の音をうつらうつらあーーー良いーーーと聞いてるつもりでいたら10時にワープしてお湯が冷めてる描写、今読んでもまことに分かる書きぶりで素晴らしい。好き。
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