東池袋ストレイキャッツ (電撃文庫)

2件の記録
雪村@lastleaf_joker2026年2月5日・杉井光先生の得意ジャンルである「音楽」×「ミステリー」の集大成となった隠れた名作。こっそり新作ヅラしながら一般文芸としてしれっと出版したら普通にヒットするんじゃないかなー、とすら思う。それくらい世界観が完成されており、ストリートの描写がとにかく美しい。 「遠くを見ようとすればすぐ近くが目に入らなくなる。星を見上げていれば道ばたの石ころには気づかなくなる。僕らひとりひとりが気に掛けていられる範囲はあまりにも狭く、限定的で、だから僕らは野良猫どうし街の片隅に集まって、お互いにまるで関心がないようなそぶりをしながら、肩を寄せ合っている。だれかが僕のために泣いて、僕はだれかのために歌っている。たぶんそんなつながりが万も億も重なって、街とか国とかをつくっているのだろう。複雑なものの実際は単純で、単純なものの正体は複雑なのだ。一滴の水だって数え切れないほどの分子の集まりだし、地球だって火星あたりから眺めれば一粒の涙にしか見えないのだから。」 (p.218) この文章が好きすぎて何度か写経した覚えがあります。今もたまにします。
