呪われた町(上)

呪われた町(上)
呪われた町(上)
スティーヴン・キング
永井淳
集英社
2011年11月1日
2件の記録
  • キング先生の作品にまた戻ってきた。 おもしろいんだよぁキング先生は。 ベンにとってマーステン館はギャツビーにとっての対岸の緑の灯火のようだ。 「人間には二つの種類がある。意のままになる人間とならない人間。世の中には十対一の割合で前者のほうが多い。」 ⭐︎くそーっ!どうせ俺は奴隷労働のキングですよーだ! 「二十七年間の結婚生活で彼女が示した唯一の思いやりは、夫より先に死んだことだった」 ⭐︎さすがキング先生。素晴らしい表現。 「東の空が白みはじめ、ノートン家と町の間に拡がる野原では、露が王様の身代金のダイヤモンドのように輝いていた。」 ⭐︎王様のダイヤモンドではなく、王様の身代金のダイヤモンドとは。身代金とすることでより高価なものに思える表現。さすがキング先生。 「彼女は十七歳で、彼ら夫婦はこの七月に最初の結婚記念日を祝った。六カ月の身重で、グッドイヤー・タイヤの飛行船みたいなおなかを抱えてロイス・マクドゥガルと結婚したとき、結婚生活はキャラハン神父の言葉通りにー祝福された脱出ロー祝福されているかに見えた。ところがいまはそれがうんこの塊としか思えなかった。」 ⭐︎笑ってしまった。 「彼の手が上のほうに滑ってゆくと、彼女の豊かな胸が大きく盛りあがってやわらかく彼の手を迎えた。彼女と知りあってから自分が十六歳の少年に戻ったような気持になったのは、これで二度目だった。頭に血がのぼった十六歳の前には、なんの障害物も見当たらない六車線の道路のように、欲するすべてが横たわっていた。」 ⭐︎六車線の道路というのがいいな。 「マーク•トウェインがいってますよ、小説とはなにもしなかった人間のすべての告白だとね」 「こんな世の中では、坊さんたちがみんな精神科病院通いにならないほうがむしろ不思議というものだ。」 ⭐︎クリシュナムルティという思想家が今は精神科の医者も病んでいるから精神科に通ってもしょうがない。って言ってたな。 「リッチー・ボッディンたちに理解できる唯一の言葉は暴力だけで、おそらく世界じゅうが仲よくやってゆけないのはそのためだろう、とマークは思った。あの日彼は学校から家に帰され、かんかんに腹を立てた父親に、丸めた雑誌で朝打ちのお仕置をくらいかけたとき、ヒトラーの本質はリッチー・ボッディンだったと父親に向かっていった。それを聞くと父親はげらげら笑いだし、母親まで釣られて笑った。おかげで親打ちの刑をまぬがれた。」 「泣かなかったからこそ、いつまでも思い出が残ったのだ。泣くことはすべてを小便と一緒に地面に流してしまうことだった。」 「かつては彼も挑戦にあこがれていた。新米の神父はだれでもそうだった。人種差別、婦人解放、同性愛者解放、貧困、精神の病い、不正等々。だがそうした新米神父たちは彼を不愉快にした。社会的関心に目ざめた神父たちで、一緒にいても不愉快でないのは、ヴェトナム戦争に反対する戦闘的な神父たちだけだった。だがいまは彼らの大義名分も時代遅れになってしまい、彼らは年老いた夫婦がハネムーンや最初の汽車旅行の思い出話をするように、いたずらに座して行進や集会の回顧にふけるだけだった。 しかしキャラハンはもう新米の神父でもなければ年老いた神父でもなかった。気がついたときはもはやみずからの基本原理さえ信じることのできない伝統主義者の役割を演じさせられていた。彼は軍隊をひきいてーなんの軍隊を?神の、正義の、善の、言葉は違っても実質はみな同じだ!悪と戦うことを望んだ。論争と戦列を望み、必要とあればスーパーマーケットの前の寒風の中に立って、レタス・ボイコットやグレープ・ストライキに関するパンフレットを配ることも辞さなかった。彼は悪の欺瞞の皮をひんむいて、その相貌のあらゆる特徴をこの目で見きわめたかった。ムハマッド・アリ対ジョー・フレイザーのように、ヤコブ対天使のように、セルティックス対ニックスのように、あらんかぎりの力を振りしぼって悪と戦いたかった。そしてこの戦いを混じりけのないものにすることを、結合双生児のようにあらゆる社会問題と背中合わせになっている政治によって妨げられないようにすることを望んだ。彼は司祭を志したときからずっとこれらのことを望んでいたが、その使命感に目ざめたのは十四歳の年に、石もて打たれ、死ぬ直前にキリストを見た最初のキリスト教殉教者聖ステパノの物語に感動したときだった。神のために戦うーそして、おそらく命を落とす ー魅力にくらべたら、天国の魅力など物の数ではなかった。ところが現実には戦いなどどこにもなかった。ただ優柔不断な小競り合いがあるだけだった。」 ⭐︎ひゃー、俺もこういう文章を書きたいんだよ! 「三十余年の教師体験から、何人も規律を無視してはゲームに勝てないこと、それを勝ったと思うのは愚かな人間だけだということを知っていた。」
  • どうたぬき
    どうたぬき
    @hin-hon
    2026年1月25日
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