大分怪談

2件の記録
DN/HP@DN_HP2026年1月27日読み終わったご当地怪談「ご当地怪談」というやつは地元が題材になっている一冊だけ読んだことがあるのだけれど、それはNot for meだった。地元だから、知ってる場所や行ったことのある場所が登場すれば、ああ、あそこが、的な面白さはあるけれど、それは地域の伝承や歴史、噂話に都市伝説のようなものをガイドみたいに「紹介」している感じで。わたしが「怪談」で読みたいのは、個人の体験、その記憶、そこにある「わからなさ」を扱った文芸だから。 みたいなことを思って「ご当地怪談」は読まなくて良いものとしていたけれど、この本の作者の単著『実話拾遺 うつせみ怪談』は「実話怪談」としてもとても良かったし、そこに幾つか収められていた「ご当地」ネタの扱いも納得出来たから、土地の名前を冠したこちらも手に取ってみた。 「はじめに」にあるこの本を構成する「ジャンルとしての実話怪談」、「地誌・資料にみられる伝承的民話や怪談」、「それらの理解を深める注釈的短文」がバランスよくフロウもしながら配置され、「伝承的民話や怪談」が残る土地、「スポット」での個人の体験、記憶を聞き取り「実話怪談」として描き出し、全く別の体験、記憶から「伝承的民話や怪談」に繋がるのでは、と思わせる共通点、のようなものをさりげなく、でもわかりやすくも提示する。そこに加えられるのは考察や解釈ではなくて、現地取材ももとにしたあくまでも注釈で。伝承も体験も記憶も、決めつけず、踏み込み過ぎず、「答え」を出さず、怪しい、作者自身も感じている、ようにも読める「わからなさ」を残しながら、それを縦糸として一冊の本を編み込んでいく。その芯となる「わからなさ」がわたしが怪談で読みたいものだから、この本も読みたかった怪談本だった。もしこういうのが「ご当地怪談」なのだとしたら、それは読むべきものぽいし、この作家の作品はそれに限らずもっと読みたい。 さて、この作家の方は「フィールド・レコーディングや音響構成に取り組」んでもいるのだけれど、原生林での怪異体験を取材、聞き取りし書かれた「実話怪談」を、その方のBandcampにあった、その舞台となった場所でフィールド・レコーディングした音源を使ったサウンドスケープ・コンポジションをイヤホンで聴きながら読んでみた。ふたつの作品の間に繋がりを意識し過ぎてしまうのは無粋な気がするけれど、落ち葉や枯れ木を踏みながら進む足音や鳥の鳴き声を聴きながら読むとやはり臨場感が凄い。人工的な音が入ってくるとハッとするし、少しだけ録音されていないものまで聞こえてきそうな気もしてしまうのだった。これもなかなかの体験だった。もちろん怖かった。 Marutama (丸太町 小川) Bandcamp http://marutama.bandcamp.com








