【POD】コレクション日本歌人選 在原業平
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4分33秒@4332026年2月13日読み終わった本書に載る三十五首のうち、「業平が女に代わって詠んだ歌」の解説が興味深かった。 業平の家にいた女のもとに、歌が贈られた。しかし男から初めて歌を贈られた女は、年若く、手紙もどう書いていいか分からず、まして歌は詠まない。ここで業平の出番である。 業平は、贈歌の言葉を逆手に取ってしおらしく反撃しつつ次のチャンスを与える、という正統派の女歌の形式をもって、エレガントな代作を返す。 若い男を翻弄して楽しんでいるという著者の解釈は、単なるプレイボーイを超えて、恋の盤面をわかって、自在に駒を動かして遊ぶ「恋愛マスター」という業平像を浮かび上がらせる。これは『伊勢物語』の「昔男」のイメージと重なる。 平安の恋愛マスターによって、歌も詠めない少女が、底知れぬ知性と品格を備えた令嬢に格上げされた幸運は計り知れない。