母の遺したもの新版
1件の記録
- しろくま@shirokuma19092026年2月18日読み終わった借りてきた沖縄戦研究と座間味島に生まれた宮城初枝さんの遺した手記をもとに、娘である宮城晴美さんが記した座間味島の「集団自決」に関する本。 第一部では宮城初枝さんの手記を載せ、第二部では座間味島の「集団自決」を住民の証言をもとに記述し、第三部では座間味島が海上特攻艇の秘密基地となってやがて「集団自決」に至る過程を中心に記述し、第四部では宮城初枝さんによる梅澤元隊長に関する証言とそれが及ぼした社会的影響を中心に記述している。最後には、「なぜ《新版》を出したのか」についての理由を①梅澤元隊長らが提訴した裁判、②「援護法」との関係から説明している。 全編読んでみると、宮城初枝さんの証言がはからずも及ぼしてしまった負の大きな影響が相当に初枝さんを苦しめたことが伝わってくる。と同時に、初枝さんの証言を適切なかたちで座間味島の「集団自決」の集合的な記憶に位置づけようとする著者の努力も伝わってくる。 もう一点印象に残ったのは、「集団自決」に関与した男たちの姿だった。妻と子どもたちの首を次々に剃刀で切りつけ、最後に自分自身を切りつけた晴美さんの祖父の姿。山羊を殺す様子を偶然見た晴美さんに「この人は首切り専門だから」と妻(晴美さんの祖母)から言い放たれる祖父の姿。ネコイラズを用いても死にきれずにいる家族八人をすべて殺し、自分も死のうとしたものの生き残ってしまった男の姿。戦後に座間味島を訪れることになるものの、住民の死には大して興味を示さず部下の戦死にばかり哀悼の意を示した梅澤元隊長。これらの男たちの姿はジェンダーの観点からも検討されるべきだろう。