夜更けのエントロピー

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蒼凍星@ClarideKieferBurgin2026年3月4日ダン・シモンズさんの訃報。 昨晩、タイムラインにすらっと流れて。 ショックで、そっ閉じ状態でした。 情報流して下さった方、ありがとうございます。 ハヤカワさんのサイトに飛んで確かめましたが、 残念ながら本当でした。 先月21日に亡くなられたようです。 去年の秋頃、シモンズさんの書かれたモダンホラー本で、自宅にあるものを読み直そう月間を敢行していた。初めて行った古本市で手に入れられていなかった『夜の子供たち』の下巻を見つけたからだった。 その古本市は『古本市』としてチラシも沢山あちらこちらに貼られており、浮かれて行ってみたらフリーマーケットであった。少しもフリマとは書かれていなかった。古本市&フリマとでも書けば良さそうなものを。こんな事にまでハッタリをこかなくても、とまたこの土地の誠実さの無さを見せつけられたようでガッカリしすぎて帰ろうと思いつつ、納得いかないから目を皿のようにして、ゴチャついた雑貨の中に投げ売りされている本を覗き、覗いてはガッカリを繰り返した。神保町ならこんな事にはならないのに、と比べても仕方ないのにそれしか頭の中に浮かんで来なかった。 小雨もぱらつき、諦めて帰ろうとしたとき、老夫婦が出店されていたボロボロな古い小さな本箱に『夜の子供たち』が並べてあるのを見つけた。おぉ!と声がもれた。中身は少し傷んではいるものの、不貞腐れていた気持ちも吹き飛んだ。ゲンキンなものである。シモンズさんが、慣れない土地でも頑張れよ!と励ましてくれている、そう思いたかった。 あの時、この本の隣にシモンズさんの『愛死』の古本もあって迷ったけれど家には奇想コレクションがあるし、引っ越した時に本の多さにゲンナリしたので、なるべく本を増やすことは控えようとその時は思い見逃してしまった。今になって、女々しくもやっぱり買っておけば良かったー!とひどく悔やまれる。 『夜の子供たち/上下』『エデンの炎/上下』『カーリーの歌』と進んで、ジョージ・R・R・マーティンさんの『フィーヴァードリーム』に流れそうになり、いかんいかんと、この奇想コレクション『夜更けのエントロピー』に収録されている、いちばん好きな短編『バンコクに死す』で、”読もう月間”を締め括った。『バンコクに死す』は最後に必ず読もうと決めていた。シモンズさんの奇想コレクションで、この短編ばかり繰り返し読んでいる。行った事のないバンコクの夜の蒸し暑さと猥雑さ、人の欲深さ、病、人と人でないもの、どうなるんだろうと最後までスリリング。というのは表向きで、人の癒やしきれない深い心の傷とどう向き合うか、を描いていると私は思っている。 あとがきに、訳者の嶋田洋一さんもシモンズさんの中短編集の『Lovedeath(邦題『愛死』)』を読まれて、この作家を意識するようになられたらしい。それまでは、色んなものを書くなあー的に思われていたくさい。(個人の感想death) 私は『ハイペリオン』シリーズを先に読んでいたので、この人SFだけ書く作家さんじゃないんだ、と意外に思って奇想コレクションを手にした。奇想コレクションの一番はじめの刊行本がこの本だったと思う。 表紙絵もハイペリやエンディミとは違いすぎて、インパクト大。生賴範義さんからのー、だもの。 話しは逸れるが、その後、奇想コレクションは表紙の松尾たいこさんのイラストのポップさとスタージョンさんのタイトルセンスがマッチしたのか、随分スタージョンさんの本は売れたようで、次々とこのシリーズから出版され、スタージョンファンとしてはウハウハで嬉しかった。どの業界も『売れる』ことは大事だな、と思いつつ、売れなきゃ手に取る機会が失われていくんだな、と。たいへん世知辛い。 恥ずかしながらシモンズさんの『イリアム』も『オリュンポス』も、単行本が分厚い、重たい、中身の文字二段組、の三重苦で読めていない!文庫は出ているが買ってない!背表紙眺めるだけで読む前からしんどい! でも今読んでいる本を読んだら、いよいよ取り掛かろうと決めた。今月はシモンズさん追悼月間とする。 (あ、ノーラン監督の新作は『オデュッセイア』らしい。シモンズさんは関係ないみたい。『オッペンハイマー』は始まり三十分で観るのをやめたので、新作に期待する) シモンズさんの作品、限りなく可能性は低くとも、もしかしたらモダンホラー新作読めるかもしれない、はもう二度と読めない事となり、本当にとても残念です。 大大風呂敷を拡げまくって、どう畳むのよこの大風呂敷をとハラハラさせられ結果最後まで回収せずに思いもしない遠くの虚空にまたぶん投げられたかったです。 心よりご冥福をお祈りいたします。 See you later, alligator!!