永遠の詩(7) 萩原朔太郎

永遠の詩(7) 萩原朔太郎
永遠の詩(7) 萩原朔太郎
萩原朔太郎
小学館
2010年5月25日
1件の記録
  • 春の実体 かずかぎりもしれぬ虫けらの卵にて、 春がみっちりとふくれてしまった、 げにげに眺めみわたせば、 どこもかしこもこの類の卵にてぎっちりだ。 桜のはなをみてあれば、 桜のはなにも、この卵いちめんに透いてみえ、 やなぎの枝にも、もちろんなり、 たとえば蛾蝶のごときものさえ、 そのうすき羽は卵にてかたちづくられ、 それがあのように、ぴかぴかぴかぴか光るのだ。 ああ、瞳にもみえざる、 このかすかな卵のかたちは楕円形にして、 それがいたるところに押しあいへしあい、 空気中いっぱいにひろがり、 ふくらみきったごむまりのよに固くなっているのだ、 よくよく指のさきでつついてみたまえ、 春というものの実体がおよそこのへんにある。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ほうれん草の柔らかいところをスープにいれるとジュワとして厚みが出るので大好きです。 ほうれん草とベーコンはいい味噌汁の具になると聞いて思い切りだし汁の中にほうれん草を入れたら 出るわで出るわアブラムシの死骸たち 不可抗力で住みかを流された死骸たちに食欲は失せ、奮発したベーコンもすべて捨てた 春になると待ってましたといわんばかりに野菜達の顔ぶれがどんどん明るくなる においも濃くなり、うまみも出る 春の恩恵にふれる度、あの味噌汁に流れ出たアブラムシの死骸が目に浮かぶ 春は命と死とともにあるのだとこの詩から思い立ったのである
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