アドルフ

アドルフ
アドルフ
コンスタン
大塚幸男
岩波書店
1965年8月16日
2件の記録
  • しらたき
    @sedosy126
    2025年4月2日
    巷に溢れる恋愛物語は、恋愛の最も美味しい部分だけを、さらに美化した形で描いていて、それによって読者はフィクションが生み出す理想化された恋自体に恋するようになりがちである。一方この本はそれらとは真逆で、そういった人間が実際に経験する現実の恋愛について描かれている。たとえば、恋愛の最初の局面におけるあの他では得難い幸福とそれを得るためにその瞬間では安いものと信じてしまう犠牲、そしてそれが薄れたときに彼らが直面する恋愛の苦悩の面そのものなど。前述した数々の恋愛物語がこの幸福の部分のみを描き、読者はそれらを読んで自ら現実世界でその続きを演じようとするのに対し、この本の読者は読んでいる瞬間に恋愛の一通りを体験し、ついには当分恋愛に対する意欲を欠いてしまうかもしれない。
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