「未来」を発明したサル

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- 一世@seedo812025年3月17日読み終わった読了。サルが「未来を予測する能力=心のタイムトラベル」を身につけたことで、進化と発展がもたらされた——本書は、このテーマを 科学の観点から探る一冊 です。 進化人類学、認知心理学、神経科学、考古学、歴史学 など多様な分野を横断しながら、「人間はどのようにして未来を予測し、それによってどのように社会を築いてきたのか?」 を解き明かします。 著者は3名で、それぞれ異なる専門分野を背景に議論を展開しているため、話題が広範に広がる点も特徴的です。 ただし、紹介されるエピソードの多くは、どこかで読んだことがあるものが多く、それらを繋ぎ合わせた感は否めず・・自分としては新しい発見というよりは、既存の知見を整理し、未来予測というテーマのもとに編集した本のように思えました。 とはいえ、記憶と予測があることで「将来のために芽を摘む」という意識が生まれ、戦争や反逆が引き起こされる という視点には納得感があります。また、人類が長期的な視野を持つことによって、単なる生存戦略を超え、未来を見据えた選択を行うようになったことの影響は、ポジティブな側面だけでなく「仕返し」「子孫のことを考えた暴力」のような破壊的な行為にもつながるという指摘は興味深い視点でした。 「心のタイムマシン」に乗せられ、博物館の中を歩くように人類史を俯瞰できる読み物 という本という意味では、十分に楽しめる一冊でした。 ● 「未来」を発明したサル: 記憶と予測の人類史(トーマス・スーデンドルフ/ジョナサン・レッドショウ /アダム・ブリー、2024年、早川書房)