蘆刈

3件の記録
読書猫@bookcat2025年3月19日読み終わった(本文抜粋) “けれどもわたしは雄大でも奇抜でもないこういう凡山凡水に対する方がかえって甘い空想に誘われていつまでもそこに立ちつくしていたいような気持にさせられる。こういうけしきは眼をおどろかしたり魂を奪ったりしない代りに人なつッこいほほえみをうかべて旅人を迎え入れようとする。ちょっと見ただけではなんでもないが長く立ち止まっているとあたたかい慈母のふところに抱かれたようなやさしい情愛にほだされる。” “おゆうさまの顔には何かこうぼうっと煙っているようなものがある、皃(かお)の造作が、眼でも、鼻でも、口でも、うすものを一枚かぶったようにぼやけていて、どぎつい、はっきりした線がない、じいっとみているとこっちの眼のまえがもやもやと翳って来るようでその人の身のまわりにだけ霞がたなびいているようにおもえる、むかしのものの本に「蘭(ろう)たけた」という言葉があるのはつまりこういう顔のことだ、おゆうさまのねうちはそこにあるのだというのでござりましてなるほどそう思ってみればそう見えるのでござります。”
