

読書猫
@bookcat
にんげんのことばやくらしをまなぶために本をよんで、すきなところをめもしています。
さいきん、にくきゅうでぺーじをめくるのがうまくなってきました。
2025/3/7-
- 2026年5月17日
- 2026年5月16日
IDOL町屋良平読み終わった(本文抜粋) "「夢」は未来では軽犯罪にあたるものになった。以来AIシステムの助力もあってとくに若い世代で殺人や病死や事故や自殺が明確に減り、健康に長生きできる社会が実現された。「夢」は健康に悪い。時代が進むにつれ睡眠時間の減少がますます社会問題化し、加速するプライバシーの侵害や、あらゆる娯楽と労働の低年齢化が進み、それとなく一般層から「夢悪説」が流行しはじめ、それが採用されてしまった形だ。" "「ふむ。「小説」か……。とくに「現代小説」と呼ばれるヤツはAIによって一時的爆発的に技術革新が起きた。けどAI身体群によって創作された作品は生身体には容易にその素晴らしさを読み解けず、次第に歴史的接続と、その価値を見失った「作家」と「批評家」のメンタルヘルスが著しく悪化しているという研究報告が出され社会問題化してたって論文は読んだことあるな」 「その通り。一五五が言うように、その時期以降、しぜんにAIは生身体に配慮した「現代小説」を書き始めた。つまり、一挙に「新しい」認識を言語化するのではなく、小出しに小出しにまだギリギリ「言葉にされていないことを言葉」にするように気をつけたんだろうね。すると。「作家」のメンタルヘルスは一挙に回復し、それどころかその技術にも爆発的革新が起きた。批評家は根絶されたけど、その一部は優れた小説家兼AI技術者になった」" "この時代の人間は、「夢」や「才能」を伴わない努力に敬意を払うけれど、それはそういう「フィクション」が好きなだけで、そういう「物語」が好きなだけで、現実には凡人が「天才」に敗れて体か心を壊して辞めていくような「ドラマ」が好きなだけだって、大人だったらみんな知っている。" "そもそも、キルトも分かってるやろうが、基本的に表現者のほうが自主規制を進めていった結果、そもそもどんな表現ジャンルでもまず「面白い」ことが暴力やねんから、「面白い」をみんながなんとなしに自主規制していった結果が僕らの時代の表現の末路やん。そもそも「表現」は人間に不可欠やとしても、そこに「面白い」は絶対的には必須やない。「面白」くないもののほうに救われるひと人も大勢おるんやから、これは人それぞれや。" "かつてここに誰かが居たかもしれなくていまはきっと居ない。これはこの時代の人間が幽霊と呼ぶ感覚にちかいものだった。" - 2026年5月14日
くじシャーリイ・ジャクスン,深町眞理子読み終わった(本文抜粋) "ここでサマーズ氏がひとつ咳払いをして、手にした名簿に目を落とすと、群衆は急に水を打ったように静まりかえった。「みんな、用意はいいか?」と、サマーズ氏は声をはりあげる。「さて、これからわしが名前を読みあげる──一族の長が最初だ──そしたら、呼ばれたものは前に出てきて、箱からくじを引く。全員が引きおわるまで、くじはひらかず、たたんだまま手に持ってること。いいかね? みんなわかったな?」" - 2026年5月12日
かわうそ堀怪談見習い柴崎友香読み終わった(本文抜粋) "「幽霊、見たことないって言うたやん」 わたしは頷いた。 たまみは、わたしの目をじっと見た。 「それ、ウソついてるで」 ドアが閉まり、車両は動き出した。窓越しに、たまみは笑顔で手を振って、離れていった。" "谷崎さんが怪談を書かれるなんて意外、と思ったんですけど、読み返してみると恋愛小説の中にも少しその要素がありますね。 打ち合わせで、編集者はそう言った。 どういうところがですか? とわたしは聞き返した。 なんと言ったらいいか、常にそこにいない誰かのことが人の心理に影響しているというか……。登場人物たちがなんとなくその場じゃないところに心が浮遊している感じがあって……。" - 2026年5月11日
読み終わった(本文抜粋) "僕は医者にオカルトを止められた男である。 そしてまた、後に UFOに関してはドクター・ストップを解除された経歴を持っている。" "「人類が滅亡するわよ! ……おかえりなさい」 ごく普通のトーンでおかえりなさいを言った。「ただいま」「おかえり」の間に「人類滅亡」が挟まれるという、恐怖の大サンドイッチにはそりゃ驚いたもんだが、人類が滅亡しようとも、とりあえずおやつあるわよ、宿題してからね、という母の”日常立ち返り力”には圧倒された。" "「お供えものはご近所の霊の人々と分け合うのが礼儀になっているから、詰め合わせにしろ、って」" "「組合に入ってねえから」 「組合、って……イタコの組合ですか?」" - 2026年5月9日
ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻E・ベルティ,N・ホーソーン読み終わった(本文抜粋) ”人の愛情に亀裂を生じさせるのは危険である。それが大きく、幅広く開いてしまうからではなく、あっという間に閉じてしまうがゆえに!“ ”かくも変わってしまったというのに、本人はめったにそれを自覚せず、相も変わらず己を同じ人間と見ている。“ ”この神秘なる世界の、見かけの混乱のなかにあって、人間一人ひとりは一個の体系にきわめて精緻に組み込まれ、体系同士もたがいに、さらには大きな全体に組み込まれている。それゆえ、一瞬少しでも脇にそれるなら、人は己の場を永久に失う恐ろしい危険に身をさらすことになる。ウェイクフィールドのように、いわば宇宙の追放者になってしまうかもしれぬのである。“ (「ウェイクフィールド」より) - 2026年5月7日
- 2026年5月6日
プレイヤー・ピアノカート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志読み終わった“わたしはときおり芸術はなんの役に立つのかと疑いをもつことがあります。わたしに思いつけるいちばんましな答えは、みずから『坑内カナリヤ理論』と名づけたものです。この理論にしたがえば、芸術家が社会にとって有用なのは、彼らがきわめて敏感であるためです。彼らは敏感すぎるほど敏感である。そのために、もっと強壮なタイプの人間がまだなんの危険にも気づかない前から、彼らは有毒ガスの発生した炭坑の中のカナリヤのように、目をまわしてぶっ倒れるのです。” (訳者あとがきに引用されたカート・ヴォネガットのエッセイの一部) - 2026年5月6日
第七階層からの眺めケヴィン・ブロックマイヤー読み終わった(本文抜粋) “何分も、何時間も、<実在>が彼女のために船に乗って戻ってきてくれる日について考えた。<実在>は途方もなく音楽的な呼吸音で彼女にささやくだろう。指で優しくふれて、彼女を焦がすだろう。彼女の名前を口にして、彼女を空へと運ぶだろう。そして、二人は一緒に島から出発して、未来に対する輝くばかりの夢によって空間の層をいくつも通りすぎていくだろう。” (「第七階層からの眺め」より) “アクィナスはそのときまだ五十歳にもなっていなかったが、その数ヶ月後に死ぬことになる。著述をあきらめた理由をレジナルド修道士に問われると、彼は答えた。「私はもう書けない。私の著作すべてをつまらぬものにするものを、見たのだ」” (「思想家たちの人生」より) “他人の家というものは、本質的になにか物悲しい。どの部屋にも他人に属する品々が無数にあり、そのだれかさんの日常生活の存在が感じられる──電灯や敷物、蔵書や食器類などがすべて一緒くたになって、小川が大地へと吸いこまれて干上がるのとおなじくらいゆっくりと、うつろに、時間をすごす。人はそんな小川の底を歩くこともできるし、流れによって削られた跡をたどることもできるが、水は一滴たりとも味わうことができない。” (「壁に貼られたガラスの魚の写真にまつわる物語」より) “私は自分をだれかに引き渡さねばならないのです。すすんで私を受け入れてくださるだれかに。私は愛することが足りませんでした。エネルギーの行き場がないのです。” (「ジョン・メルビー神父とエイミー・エリザベスの幽霊」より) “このときから数千年かかって、人類は死者の肉体から記憶を回収する処置を開発することになる。そのときまでに、あなたが生きていたころのことは、野蛮で粗暴な物理的破壊の時代として思い起こされるようになり、退廃的文化を扱う歴史家の興味しか引かなくなっている。しかし、科学的研究という名目で、あなたのいた世紀の遺体が記憶再生ように発掘されて、その中にあなたのものも入っている。” (「ルーブ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂」より) “自分の人生について考える時間はたくさんあり、アメリカ人がカメラで空中に穴を開けて、向こう側から光が注ぎ込まれてきたあの日、私が得た洞察は錯覚ではなかった。あの瞬間、神はその視線を私に注いで、私はそれにさらされた。私のある部分は、ひっそりした生活を永遠に奪われたのだ。” (「空中には小さな穴がいっぱい」より) - 2026年5月5日
ミスター・チームリーダー石田夏穂読み終わった(本文抜粋) “自分は、身体づくりを「自分らしさ」の追求だとは思わない。「自分磨き」の延長だとも思わない。こういう「ボディメイク」界隈にいると「過去の自分を超える」とか「自分と向き合う」とか「自分史上最高の身体になる」とか、やたらめったら「自分」が出てくる。とりわけ「自分らしく」が賞賛されて、身体づくりにそういう面があるのは否めないが、しかし「自分らしく」に言うほどの価値はあるのだろうか。ほっといたら誰だって「自分らしく」なれる。後藤が思うに「自分らしく」は、人が手を抜くときの常套句で、それを口癖のように唱えていたら、人間は最もヘナチョコな状態になってしまう。だって、この世に素のままで評価される人はいない。赤の他人に認められるために、誰しも懸命に努力するものだ。人間の価値はいつにしたって「自分らしく」を越えたところにある。” - 2026年5月5日
読み終わった(本文抜粋) ”聖書には「復讐するは我にあり」という神の言葉があります。つまり、復讐するのは人間ではなく、神でなければならない。それでももし自ら復讐しようと思うならば、神に代わって復讐するということでなければいけないわけです。そのためには、ひとりの弱い人間としての立場ではなく、自分が神と一体化しなければならない。“ ““To be, or not to be”(「生きるべきか、死ぬべきか」)のジレンマで悩んでいるかぎり、何かのきっかけでつまずいて自殺してしまったり、あるいはとんでもない事件を引き起こしてしまったりすることもあります。そこまでいかなくとも、人生が息苦しい閉塞感に陥ってしまいます。そうならないためにも、理性か熱情かという二項対立から脱け出て、第三段階のハムレットのように、もっと大きな観点から弱い人間としての自分を見る、という感性が必要でしょう。” - 2026年5月4日
灯台守の話ジャネット・ウィンターソン,岸本佐知子読み終わった(本文抜粋) ”ソルツ。それがわたしのふるさとだ。海になぶられ、岩に噛まれ、砂に研がれた貝殻みたいな町。そう、それと、灯台と。“ ”「どうしていっつも一つのお話をするのに、べつのお話を始めるの?」 「そりゃあ、何もないところからひょっこり始まる話なんか一つもないからさ。親のいないところに子が生まれないのとおんなじだ」 「あたしは父さんなしで生まれたよ」 「そして今じゃ母さんもなしってわけだ」 わたしは泣きだし、それを聞いてピューは悪いことを言ったと思ったのだろう。わたしの顔に触れて、涙をそっとなぞった。 「それもまた一つの話だ。自分を物語のように話せば、それもそんなに悪いことではなくなる」“ “誰かの元を去って、なおかつ共にいることはできるだろうか? できる、と彼女は思った。彼女にはわかっていた。今日これからどんなことが起ころうと、二人がどんな決断を下そうと、自分が彼を失うことになろうとなるまいと、そんなことはもうどうだっていいことなのだと。まるで芝居か小説の中の登場人物になったような気持ちだった。それは一つの物語だった。” “人生が途切れ目なくつながった筋書きで語れるなんて、そんなのはまやかしだ。途切れ目なくつながった筋書きなんてありはしない。あるのは光に照らされた瞬間瞬間だけ、残りは闇の中だ。” “わたしの体は、ジャコウネコと家猫でできている。 この野性の心と人恋しい心のあいだで、どう折り合いをつければいいだろう? 野性の心は自由を求め、人恋しい心は家にかえりたがる。ぎゅっと抱きしめてほしい。(あまり近くに寄らないで。)夜になったらわたしを抱きあげて家に連れてかえって。(誰にも居場所を知られたくない。)誰にも見つからない岩のすき間に隠れていたい。(あなたといっしょにいたい。)” - 2026年5月3日
幽霊たち(新潮文庫)ポール・オースター読み終わった(本文抜粋) ”まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。“ ”彼はこう思う。何が起きたかを書いたところで、本当に何が起きたのかが伝わりはしないのだ。報告書を書く経験においてはじめて、彼は、言葉がかならず役に立つとは限らないということを思い知る。伝えようとしている事物を、言葉が見えにくくしてしまうことも時にはあり得るのだ。“ ”書物はそれが書かれたときと同じ慎重さと冷静さとをもって読まれなければならない。彼は一挙に理解する。こつはゆっくり読むことなのだ、と。言葉に接するときのいつもの速さを捨てて、じっくり読み進めることなのだ。“ ”書くというのは孤独な作業だ。それは生活をおおいつくしてしまう。ある意味で、作家には自分の人生がないとも言える。そこにいるときでも、本当はそこにいないんだ。 また幽霊ですね。 その通り。 なんだか神秘的だ。“ - 2026年5月2日
黄金比の縁石田夏穂読み終わった(本文抜粋) “それにしても、総合的に、か。何て胡散臭い言葉だろう。新卒採用では何か一つに秀でたスペシャリストではなく、万事に柔軟なジェネラリストを雇う。「世界をリードするエンジニア集団」を自負するKエンジでさえ、そこは「ポテンシャル採用」だ。そして「総合的に」がやたら新卒採用で叫ばれるのは、このポテンシャルというのがどうしたって評価できないからだ。” “「縁」と口にすることにより、誤魔化される生臭さがある。「縁」により蓋をされ、丸め込まれる罪深さがある。だってそれは「縁」などではないのだ。他でもない採用担当、お前自身が、ジャッジしているんじゃないか。” ”人間が人間を選び捨てるプレッシャーはただごとではないのだ。だから私たちには黄金比が要る。そうでもしないと生身の人間に優劣などつけられない、否、つけられないというより、つけてはならない。この評価軸が正しいか間違っているかは、究極、どちらでもいいのだ。“ ”好奇心は猫を殺すらしい。私は猫じゃないから、多分大丈夫だろう。“ - 2026年5月1日
フッハッ!な純文武田百合子,町田康,福田節郎読み終わった(本文抜粋) ”その雑誌は、僕のところにも恵送せられて来ていたのであるが、それには僕の小説を、それこそ、クソミソに非難している論文が載っているのを僕は知っているのだ。それを、眉山がれいの、けろりとした顔をして読む。いや、そんな理由ばかりではなく、眉山ごときに、僕の名前や、作品を、少しでもいじられるのが、いやでいやで、堪え切れなかった。いや、案外、小説がメシより好き、なんて言っている連中には、こんな眉山級が多いのかも知れない。それに気附かず、作者は、汗水流し、妻子を犠牲にしてまで、そのような読者たちに奉仕しているのではあるまいか、と思えば、泣くにも泣けないほどの残念無念の情が胸にこみ上げて来るのだ。“ (太宰治「眉山」より) - 2026年4月29日
小さき者へ・生れ出づる悩み有島武郎読み終わった(本文抜粋) “私たちはこの損失のお蔭で生活に一段と深入りしたのだ。私共の根はいくらかでも大地に延びたのだ。人生を生きる以上人生に深入りしないものは災いである。” (「小さき者へ」より) “人間と云うものは、生きる為めには、厭でも死の側近くまで行かなければならないのだ。謂わば捨身になって、こっちから死に近づいて、死の油断を見すまして、かっぱらいのように生の一片をひったくって逃げて来なければならないのだ。死は知らんふりをしてそれを見やっている。人間は奪い取って来た生をたしなみながらしゃぶるけれども、程なくその生はまた尽きて行く。そうすると又死の眼の色を見すまして、死の方に偸み足で近寄って行く。” “「今夜ははあおまんまが甘えぞ」 と云って、飯茶碗を一寸押しいただくように眼八分に持ち上げるのを見る時なぞは、君は何んと云っても心から幸福を感ぜずにはいられない。君は目前の生活を決して憎んでいる訳ではないのだ。それにも係らず、君は何かにつけてすぐ暗い心になってしまう。 「画が描きたい」 君は寝ても起きても祈りのようにこの一つの望みを胸の奥深く大事にかき抱いているのだ。その望みをふり捨てて仕舞える事なら世の中は簡単なのだ。” (「生まれ出づる悩み」より) - 2026年4月23日
弔いのひ間宮改衣読み終わった現時点の2026年ベスト現代小説。 いつもは読んだ本の好きな部分を抜書きしているがこの小説はそれができない。抜き書こうと思うと超長文になってしまう。一箇所だけ抜粋する。 (本文抜粋) "わたしには人に良く思われたいという願望が人一倍あって、その願望は川のようにわたしの内側で常に流れ続け、その水流に押し流されるような形でわたしは、いつも他人とやりとりをするとき、本来の自分とはまったく違う自分を作り出してしまう。明るく、社交的で、良い人間だと思う自分をその場その場で演じてしまう。それはメールなどでも同じで、やりとりの最初のほうはまめに送ることをいとわず、あたかも楽しんでいるかのように演出する。父親が死に瀕しているのであれば、娘としての心配と彼の決断を尊重する姿勢を見せ、献身的な振る舞いをする。それが良い人間の振る舞いだと思うから。けれど、そうした振る舞いを、わたしは長時間持続させることができない。だんだんと面倒になってしまう。" - 2026年4月23日
あれは何だったんだろう岸本佐知子読み終わった(本文抜粋) "数年前に買った、ベージュの生地に銀色の文字がプリントしてある子ども向けTシャツもその一つだ。色の取り合わせや文字の感じがツボ直撃で、サイズ的にどう考えても着られそうにないののに、二年に一度の衝動波には逆らえなかった。 家に帰って、あらためてその文字を読んだ。 May you grow like an Onion with your head in the ground!(お前が頭を地面にめりこませて、タマネギみたいに逆さに生えますように!)" (「呪詛♡」より) "かくして海パンは完璧に息の根を止められ、永遠に、”死後の世界”の住人となった。 だが息の根を止められたはずの海パンが、いらい夜な夜な私の夢枕に立つようになった。 あんまりです、そう言ってさめざめと泣くのだ。" (「ハローワーク」より) - 2026年4月22日
終わりの街の終わりケヴィン・ブロックマイヤー読み終わった(本文抜粋) "死者はしばしば、そんな記憶に驚かされる。自分が育った家や地域のこと、強烈な恥や誇りの感情、仕事、毎日の日課、命をゆっくりとむしばんでいった道楽のことを何週間も何ヶ月間も一度も思い出すことなくすごしていながら、逆に、非常に些細な、取りに足りないエピソードが日に百回も、尾びれでぴしゃりと湖面を打つ魚のように、脳裏に浮かぶのだ。" "しかし、どうして彼は人生の中で自分を傷つけた事柄ばかり覚えているのだろう? 彼に喜びを与えるか、ほほえませるような──これまでに聞いた冗談、腕を振り動かしたくなるような歌、彼を愛してくれた人たち、その人たちの頬に彼の指がふれたときの感触などをどうして思い出せないのだろう?" - 2026年4月21日
ジェイムズパーシヴァル・エヴァレット,パーシヴァル・エヴェレット,木原善彦(本文抜粋) "私は生まれて初めて、紙とインクを手にした。天にも昇る心地だった。私はまっすぐ枝を見つけ、先を尖らせて、片側に溝を掘った。紙を膝の上に広げ、枝の先をインクに浸し、最初の文字を書いた。本で見た通りの文字を不器用に、ゆっくりと。それから最初の文章を書いた。私はそれを判事の図書室の本で読んだ文章でなく、間違いなく自分自身の言葉にしたかった。" "「善悪と法律はなんの関係もねえだよ。法律はただ、わしが奴隷だと言っとるだけだ」" "「信じるかどうかなんて真実とはなんの関係もない。おまえは信じたいことを信じればいい。私が嘘をついてるんだって信じて、白人として生きていけばいい。私の言葉が本当だと信じて、それでもやっぱり白人として生きていったっていい。どっちだって同じことだ」。" "私がこれほどおびえた白人を見るのは初めてだった。しかし驚くべきは、彼をそこまで動揺させ、おびえさせているのは、拳銃ではないということだった。私の言葉遣い、私が彼の思い通りに振る舞わないという事実、私には読み書きができるという事実に彼はおびえていた。"
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