合本 大地の子(一)~(四)【文春e-Books】

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enoki@en0ki2026年4月17日読み終わった残留孤児の物語で、かなり取材を行った上で書かれたものとのこと。子どもの頃中国に置き去りにされ、侵略を行なった日本に出自を持つことで何度も苦しい目にあいながらも、愛情深く道徳的な中国人夫婦の元で育ち、その恩に報いるべく誠実に生きる主人公陸一心の姿が描かれる。 ほとんど棄民として捨て置かれた田舎から出された日本人も、日本軍に家族や生活をめちゃくちゃにされた中国人も出てきて、かつての侵攻と横暴な振る舞いが生んだ被害者の山と続く遺恨が読んでいて辛い。そんな中でも愛情を持って主人公を育て上げた中国人夫妻や危険を承知で主人公を救う一助となった妻、難しい政治体制の中でなんとか便宜を図ろうとする人など、道徳的な人間の振る舞いが胸を打つ。 戦争は終戦で終わるものではないということが伝わってくる。起こってしまったが最後、長く残る遺恨の中で人は生きていくことになる。 世界がひどく不安定に感じる今を生きる中で、希望は残るが心の沈む物語であった。
