金色の獣、彼方に向かう (双葉文庫)

2件の記録
- たるたる@miyabi2025年11月15日読み終わった小説星3.5伝奇@ 自宅話題沸騰の『ジャガー・ワールド』の前に彼の作品を何か読みたくて一読。パラパラとめくってみたら、読んだつもりになっていたが未読だったようで新鮮な気持ちで読んだ。 物語のメインモチーフは窮奇。 それは古代中国にいた神とも妖怪ともつかぬ存在で、鎌鼬や飯綱などとも混同され、主には鼬に似た形をとって人の前に現れる。窮奇はそれと感応した者には千里眼をはじめとした様々な力を与えるが、残念なことにそれで幸せが掴めるわけではない。 むしろ悲しい結末を呼び寄せるような存在である。 この小説では、それらが時代を変えながら四遍の短編として描かれる。 この四遍、どこをどうとってもハッピーエンドとは言い難い話が展開されるのだが、恒川光太郎らしい不思議な静けさというか、暗く悲しい話なのに抒情的にぐっとくる話になるから不思議である。 このあたり、初期の夜市や古道・秋の牢獄でもそうだったが、なんとも不思議な、余人には真似の出来ない作風という他はない。


