ライオンハート

ライオンハート
ライオンハート
恩田陸
新潮社
2000年12月1日
1件の記録
  • きいこ
    きいこ
    @kiikokko
    2026年4月21日
    普段は文庫本ばかり読んでいるので久しぶりに単行本を手に取ったが、この本は単行本で読めてよかったと思う。欲を言うならば、ソフトカバーよりもハードカバーのほうがこの本の装丁に合いそうだなと思った。そのくらい重厚な物語だった。 カタカナの人名を覚えるのが苦手なせいで、読み進めるのに結構苦労した。「イヴァンチッツェの思い出」の章はことさら難儀した。なにせ十名弱も新たな登場人物が出てくるのだから。あと、この章には若干のミステリー要素も混ざっていたため、ミステリー作品を読み慣れていないせいで苦労したのもあると思う。 一部の出てくる人物や出来事が現実世界とリンクしていながら、作品自体は壮大なファンタジーであり、どうやったらこのような作品が書けるのだろうと感嘆した。 歴史や世界情勢に疎いせいで、物語序盤を読んでいるときはぼんやりと現実世界と繋がっているんだろうなあと思っていた程度だったが、「春」の章の最後でミレーの名前が出てきたときにようやくそれを確信して、鳥肌の立つ思いがした。自分がいくら美術に疎くても、その画家の名前はさすがに聞いたことがあった。いつか「春」をこの目で見てみたい。 束の間の邂逅しか許されなかった二人がとうとう運命を手に入れた「記憶」の章の感想は、うまく言葉に表すことができない。読んだときは涙が滲んだし、なんと喜ばしいことかと思った。しかし、心のどこかで私は、二人がずっと一瞬の出会いを繰り返して輪廻転生することを望んでいたのかもしれない。二人にとっては迷惑極まりない読者である。 登場人物の多さや人間・血縁関係、時代の前後関係などを理解するために久しぶりに頭をフル回転して挑んだ読書体験になった。十年ほど前にこの本の存在を知って、一度読んでみたいと思ってはいたもののすっかり忘れてしまっていたので、今ようやく読むことができてよかった。おもしろかった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved