夜の墓場で反省会 (TOKYO NEWS MOOK 410号)

夜の墓場で反省会 (TOKYO NEWS MOOK 410号)
夜の墓場で反省会 (TOKYO NEWS MOOK 410号)
ワクサカソウヘイ:著
東京ニュース通信社
2014年2月1日
1件の記録
  • 大切な日に限って口内炎ができる。 幼き頃から一定の間隔とも、順不同とも言えるタイミングでできるそれは発生するたびに「これは定期的なものなのかどうかをハッキリさせようぞ!」とカレンダーアプリに書き記そうと決心しては、その次の瞬間に「グラコロ美味しそうだな〜」という空虚な欲望に掻き消されては忘れ去られる。 しかも口内炎ができる場所は年代によって変わったりする。 小中学生の頃は奥歯の横の頬裏によく発生していたような記憶がある。 これの厄介なところは、口内炎が腫れ上がることで口の内側に小さな乳首のようなものが生まれることで、多少なりに口の中の間取りが狭くなることだ。広々ワンルームに突如として「これ必要か?」という柱が急に生えてきたようなものだ。 口の中の間取りが狭くなることでちいくび(口の裏側の小さな乳首の略称)がある生活を強いられるのだけれど、突如として現れた柱との生活は予想外の障害をもたらす。 鍋をテーブルに持って行こうとしては肩をぶつけ、スマホをいじりながら近くを通れば足の小指をぶつける。 「痛って!なんでこんなところに…なんだちいくびかよ…」 突如として生えてしまった柱に遣る瀬なさを覚えるばかりか、その狭さに慣れてきて調子に乗って嵐の『愛を叫べ』などを踊っていると逆サイドの頬にもちいくびが発生していたりする。 「あ!?昨日までなかったよな!?」 これは口内ルームが狭くなったことで、かつ片方の柱を避けるあまりに、逆サイドの歯での咀嚼を意識し過ぎ、逆サイドにも口内炎が出来てしまったということだ。 「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!!!!」 住み慣れた真四角のワンルームは気付かぬうちに持ち手部分が狭すぎるダンベルのような形となり、住みづらさを倍増させて行く。 少し大人になると今度はベロの付け根に口内炎が出来るようになった。 え、まって、そんなところにも出来るの?口内炎って。 どんだけ自由なのだ。 龍が如く極の時の真島吾朗なのか。 この口内炎も非常に厄介で、いかんせん話す度にベロの付け根からビリッとした痛みが登ってくるのだ。 この時ほど、人は話す時に舌を酷使しているのだと気付かされることはない。 夏のボーナスとか、有給とか、星野リゾートのペアチケット(二枚舌だけに)とかあげた方が良いのかもしれない。 そして現在、timeleszの東京ドーム公演に向かっている電車の中でこの文章を書いている。 そんな大切なハレの日だろうが意に介すこともなく、口内炎のヤツがやってきた。一昨日から。 もちろん対策はした。 クリーム状の薬で口内をベチョベチョにして、歯医者さんからもらった消毒液のボトルをがぶ飲み(⁉︎)し、「もう大丈夫お前は一人じゃないよ」と少年漫画の主人公気分を味合わせてやった。 これで2日かければ治るだろうという見込みも虚しく、ぼくの口内炎は現在、下唇の裏側に鎮座している。 ここが今日の寝床なのである…ムニャムニャ。 と、お気に入りスポットでシエスタをキメる猫の如くそこでアンモナイトのように丸まっているのである。本当にちいちゃい猫が口の中にいたら良かったのに。 これから東京ドームでtimeleszメンバー生で拝むことが出来るというのに佐藤勝利を見ながら「勝利も口内炎出来るのかなぁ」と考えたり篠塚大輝を見ながら「おれの口内炎もお前のようにみるみると成長しているよ(泣)」と言った雑念がチラつくのだろうか。 それはあまりにも悲しいけれど、ここまで自分の口内炎と向き合ってなんだか愛着が湧いてきたまである。 寺西拓人を見ながら「この口内炎もいつか国民(おれ)の元カレになっちまうのかなぁ…」とセンチメンタルに陥る可能性だって出てきた。 猫だったり、元カレだったり、大変である。おれの口内炎。 ワクサカソウヘイさんの『夜の墓場で反省会』を読んだ。 相変わらずワクサカさんの文章を読むと執筆意欲が湧く。 もしかすると、もしかしなくても、この感情は常軌を逸しているのかもしれない。 彼の文章は自他共に認めているであろうほどに「ふざけている」からである。 ふざけていて、無意味に近い文章が、僕の救いであり、笑顔にしてくれる。 本当の意味での現実逃避をもたらしてくれるその文章はきっとワクサカさんが本気で現実逃避に臨んでいるからかもしれない。挑んでると言ってもいいかもしれない。 僕は基本的に働きたくない。 けれど、ゲーム実況をやったり、こうやって文章を綴っている事がとても楽しい。 でも好きな事しかやりたくない、という感覚ともまた違う。 多分ゲーム実況や、文字を書くという事が生活になりつつある。 生活は当たり前に続いて行く、くだらなくて、楽しくて、面白い、時には辛くて、しんどくて、果てしない未来に不安を抱く。 いつか生活で食っていけるようになったら最高じゃないですか? そんな余裕ができたらこの口内炎のことももう少し好きになれるんじゃないだろうか。 いや、嫌いだわなんだこいつ。痛ぇし。
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