風立ちぬ,聖家族: 花を持てる女、浄瑠璃寺の春、曠野 (愛と青春の名作集)

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ゆらゆら@yuurayurari2026年5月1日読み終わった「聖家族」は師・九鬼(芥川がモデル)の亡き後、青年・河野扁理(モデルは堀辰雄自身)と、九鬼と関係のあったらしい細木未亡人の娘、絹子との恋愛以前とも言える心理を描いた、妙に緊張感のある小説だった。テーマは“生の乱雑さ”。 自伝的小説「花を持てる女」がすごく良かった。妻と初めて、向島の円通寺に母の眠るお墓を訪ねる所から始まり、実は父が養父で、生父がいたことを知らされた話、母・志氣と養父・上條松吉の若い頃の話などが、亡き人を想う少し寂しげで美しい文章で綴られてて胸に迫る。母の墓の近くにあった小さな子どもの墓のエピソードも心に残る。カロッサの『幼年時代』を読んでる話も出てきて、堀自身も『幼年時代』を書こうとしてる。 『大和路・信濃路』の一編らしい「浄瑠璃寺の春」も良かった。京都に、奈良との県境にある、寂れた浄瑠璃寺(通称・九体寺)を妻と訪ねた際の短い随筆で、関西弁の寺娘と妻の会話が心地よいし、馬酔木の花の話は幻想的というか、現実から遊離していく感じが、堀辰雄らしさが凝縮してる気がした。本編も読まねば。 「曠野」は、後年、日本の古代の王朝文学に傾倒していったという堀が“万葉小説”とも呼んでた作品で、平安時代の男女の哀しい話で、何か琴線に触れてくるものがあった。





