眼下は昏い京王線です

6件の記録
- 花春@haru-tuge2025年4月1日読み終わったXで作者の宣伝ポストを見かけて、「エモーショナルホラー」というキャッチコピーに心惹かれて読んだ。 ライトな感染型ホラーで、わたしは、これはひたむきな恋愛小説だなと感じた。 最初は、主人公の琴葉ちゃんの軽率さや女子大生らしい自意識に「お、おう…」とちょっと引くんだけど、さくさく読み進めてゆくうちに自然と「うんうん、でも好きなんだもんねえ、そうだよねえ」と応援しちゃうようになるので、一話目で合わないかも?となっても、諦めずに続けて読んでほしい…。 そういう、恋愛要素が重要になるからホラー要素は狙って軽めなんだな~とか実在の地名使ってるのこういう意図か~!がラストにわかったりとか、感染型のコノヤロウ巻き込みやがって感がエモーショナルさで許せてしまうあたりとか、読了後に「この作者さん、小説を書くのが上手いな!?」と惚れ惚れした。 これは狙ってああ書いてるのだと思うので、他作品も読んでみたい~! シマくんはいます ※ 以下、具体的なネタバレ感想 ※ 3/20の夜に一気読みしたっぽい(スマホにメモが残っていた) 短編の中では『仙川』が怖かったので、わたしは「自己の認識を弄られて抵抗できなくさせられる」ことに恐怖を感じるのかも?という気づきを得た。ホラーあんまり読まないので知らなかった。 『千歳烏山』で並行世界の示唆、『桜上水』で怪異を多くの人に認識させることで存在を確立させる手法、『新宿』で儀式が完遂されてない片手落ちであること(琴葉あるいはシマくんが贄になったのに母親は戻ってきていない)、『エピローグ』でタルパの話と、読み終わったときに「真相がどうなのか、彼女はこれからどうなるのか」を読者に想像させるネタをばら撒くやりかたが上手い~!! 可能性がいくつもあるのだよな…。 わたしはシマくんが琴葉を殺しきれなくて、連れて行かれたのはシマくん(なので、怪異と出会える体質の琴葉が執念でいつかシマくんを引き寄せられる)と思いたいのだけど、 でも、エピローグのシマくん評、ちょっとずつおかしい気もしててそこはかとなく不安。 シマくん、タートルネック着てる描写なんてあった…? 表紙絵でも派手な柄シャツですが…?? 『笹塚』で、シマくんが「琴葉が自分の名字を知らない」と知って動揺するところ好きだなあ。 あそこで、シマくんに、琴葉の愚直なだけの恋心、その偏執的な熱量、ひたむきさ、そういったものが確かに伝わっていたし、それらがシマくんの中のなにかを揺らしたのだと信じたくなる…。 わたしはこの作者の著作はこれが初めてだったのだけれど、その状態だと、「エピローグで別シリーズの2人をカメオ出演させた意図」は掴めなかった。 最初、このいきなり出てきたふたりの描写だけ浮いてるな?と当惑して、検索かけてやっとカメオ出演した別シリーズキャラか!を理解したので、こう…「ナチュラルにカメオ出演してる」じゃなくて「違和感を感じた」わけなので、ここはあんまり描写が上手くないのだろうなという気がする…? (ただ、別シリーズも読破してるらしき人の「このキャラがこう反応してるということは、琴葉は〜〜という状態であるというのがわかる」みたいな、この2人が出演したことにも意味があるよ!という感想も見たので、別シリーズ読んでからもっかいこのエピローグを読み直したいな)