
花春
@haru-tuge
感想文はすべてをネタバレしています。
イイネは気になった本とか素敵な感想ですね!のやつ
アイコン:シマエナガとお花のアイコンメーカー
- 2026年9月26日
QED 百人一首の呪高田崇史またいつか題材として好きそうではあるものの、分厚さに怖じて未読のままだったシリーズ。 500ページ中200ページくらいまでは読んだのだけど、そこまで読んでまだ「殺人事件」と「百人一首配列の謎」が乖離したままで、延々といまいち頭に入らない百人一首の解説を読まされ続けるのがしんどくなってしまった。 この本をどう楽しめばいいのかわからなくなって解説を読むと、そこまでちゃんとふたつが絡んでるわけではなくて百人一首配列の謎を明かすパズルミステリとして描かれているのでは…(かなり意訳してる)とあり、ならちょっとそのメイン部分が楽しめてないかも!!となってギブアップ。 「手法に淫するミステリ」と解説にあったけれど、そんな感じだなあ。98年初版のメフィスト賞受賞作なので、その時代その賞に望まれた作品なのかもしれない。 魅力的なキャラクター像で吸引するでもなく、予備知識のない読者に対して解説するでもないため、百人一首についてある程度の知識と興味がないと読みづらいのがきつい。 文体も簡素で読みやすくはあるのだけど、どこか芝居がかってる感じ。これは時代かも。 うーん…もっと好きなテーマの作品なら読めるのかなあ。ホームズとか。 あるいは、もっと軽めの作品で筆者の作風に慣れたら良いかも。読めるようになったら面白い作品な気がするんだよなあ。 - 2026年9月25日
読み終わった絵本・児童書面白かったー! 講談社児童文学新人賞を受賞した作品らしいけれど、納得の面白さ。 江戸の長崎で、針仕事が好きな古手屋の町娘が、芸妓の姉様からレースをもらって小物を作ったり、オランダから持ち込まれた宝石の抜け荷事件に巻き込まれたりしながら、自分のやりたいことをみつけてゆく話。 オランダ船を日常的に見ることができる位置に住んでいて自身も好奇心旺盛だけれど、当時、女性が船に乗って外国に行くなど認められるはずがない。 そういう世の中の仕組みをちゃんとわきまえているところに好感が持てる主人公だけれど、その「滅相もないことは言えんがいね」という分別が彼女の成長を妨げていることがわかる導入から、夢を見つけてそれを目指すと決めるラストまでがテーマがブレない。 自分が外国に行くのではなく、「いつか自分の作品を外国に届けたい」という夢のありかたなのも、ギリギリ叶うかもしれないラインで、落としどころが上手い。 主人公の聞き分けの良さや周囲の人たちのフォロー、展開など、令和のまっすぐなジュブナイルだなと思う。時代ものだけれど! 医学生の少年との淡い恋や芸妓を目指す親友との友情、西洋医学の心得がある先生や芸妓の姉さまたちといった大人たちなど脇を固めるキャラクターたちも魅力的だったし、主人公との関わり方も良かった。 父親が基本的に蚊帳の外というか、あんまり噛んでこないのも、「大人への一歩として自分の進みたい道をみつけるこども」というテーマから考えて的確な距離感だったんだろうな。 主人公はけして跳ねっ返りではなく、むしろ良い子タイプだけど「てまり」という名前なのも、跳ねて家から出ていくイメージなんだな…そう考えると、細かいところまでちゃんと考えられてる作品だなー。 和布にレースで作った花をあしらうの、とてもよかったな…。もらったレースがきれいで大事で、相応しい仕立てを!と慎重に考えて出来上がった彼女だけの作品。貴重なものをくださった姉さんの気持ちも大事にしてるんだなが伝わる。 最初、作品が絵で想像できなくて、けっこう長く描写に「??」ってなってたのが惜しい。裏表紙にぽつんとイラストが載ってるのだけど、読み始める前に裏面見てなかったから…。 イラストが章タイトル下部にしか無いタイプだったのだけど、勿体無いなと思ったなあ。読者層から考えていらないと判断したのかもしれないけど、時代ものって読者からすれば非日常的だから、挿し絵で補強したほうが入り込みやすいと思う。 表紙絵もとても可愛らしいのだけど裏表紙や背表紙の絵はもっとあっただろ…と思う。背表紙でミニてまりちゃんが跳ねてるの可愛いけど、表情が同じで…これ表紙絵ラフをいくつか出したものを流用した?みたいな…。 これは、イラストレーターではなくデザインの人があんまりだった感じかなあ。 文字フォントはやわらかくてのびやかで可愛らしくて、すごくセンスいいんだけどなあ。 タイトルもすてきだけど、謎解きがメインテーマの話ではなかったから、合ってないなと思う。元タイトル『古手屋てまり』のほうが合ってる。元タイトルはあまりにしっとりしすぎているしこどもが手に取らなそうだから変更そのものはしたほうがよかったのだろうけれど~…難しいね。 - 2026年9月22日
夜叉神川安東みきえ,田中千智読み終わった絵本・児童書ちょっっと表紙絵と内容がミスマッチじゃないですかね!?(一話目読了直後の感想) やっぱり表紙絵はこれではなかったんじゃないですかね!?(一冊読了直後の感想) 「夜叉神川」という川が流れている町を舞台にした、人間の悪意が生々しいホラー多めのオムニバス。 テーマや展開を切り出せば確かにこれは児童書だな…と思うのだけど、児童書で面白く読めるホラーって学校の怪談系だよ〜!!と涙目になる。めんどくさい人間関係や絶対的なヒエラルキーが描かれてるの、絶妙にいやなきもちになる…ホラーとして正しい姿…。 「青い金魚鉢」では繊細で拘りの強さゆえにいじめられているこどもが出てくるのだけど、その母親も手作りおやつを食べさせながらダニの話をする…等ちょっと変わったタイプで、「ああ、娘さんの性質は遺伝なのかもしれないな」と思わせてくる。描写が上手いけど胸が塞ぐ! 「果ての浜」が好きだな。いちばん前向きでかなしいオチの話が好きだなーと思うあたり、たぶん今のわたしは弱っている。 - 2026年9月22日
木曜日にはココアを青山美智子読み終わった大人向け:物語悪意のすくないおだやかな世界で、あったかくて頑張り屋なひとたちによって紡がれる連作短編集。 短編というか小話といったほうがニュアンス伝わるくらい短いお話が12編。喫茶店のお話の次は、その喫茶店で一休みしてたキャリアウーマンの話で…と前作の背景モブが次作の主役になるので、構成に気付いたあとは「あ、次はこの人の話かな?」「いつかこの植物園が舞台になるかも」みたいな伏線を探す読み方ができるようになって楽しい。 ひたすら幸福度高くておだやかな展開の物語が続くので、刺激が少なくて眠くなってくるな…寝る前のオーディオブックとか似合いそう…と思いつつ読み切ったのだけど、シドニーの月刊情報誌の公式サイトに連載されていた小説群だったと知って、なるほどなー!となった。そういうところが掲載誌なら、やさしくてわかりやすいハッピーエンド保証なおはなしになるよなあ。マッチングの問題だった。 掲載誌を確認したら、物語の解像度上がるなあ。 - 2026年9月16日
アンブラと4人の王子アン・ローレンス,Ann Lawrence,佐竹美保,金原瑞人読み終わった絵本・児童書図書館でたまたま見つけて、なんか表紙を見た瞬間に「これ、前に読んですごく面白かったやつだー!?」と懐かしくて堪らなくなって借りて読んだ! 小国の女公が、隣国の王子たちの求婚に対して、お嫁に行くのではなくて自国に嫁いでくださる方とならば結婚しますと返すのだけど、「恋愛ものって、女の子がお嫁に行く話ばかりじゃないんだ」と目から鱗だった。読み直してみればアンブラは小国とはいえ女公で、お嫁に行けば国が吸収されてしまうだけだからそりゃそうだろとなるんだけど。当時のわたしには衝撃的だったのだよな…女の子が男の家に入ることが結婚だと無自覚に刷り込まれていたというか、児童書がそういうステレオタイプが多いだろうとみくびっていたというか。 想像力豊かで影響されやすく熱しやすい小国の女公が、王子たちから芸術や学問、政治の重要性を説かれて国を発展させてゆく話で、今から読み返してみるとなろう系の内政ものっぽい。サクサク国が発展して、サクサクと陥れられて反省して、収まるところにおさまる感じとかも。 4人の王子が求婚を受けたり断ったりするところ、それぞれの理由がちゃんとそのキャラらしくて、キャラクターが生きてるなあ…と思う。 2人目のベイ王子が政治に強くて如才ない立ち回りをする性質なのとか、キャラ設定がうますぎるものな。 物語上は悪役に近い立ち位置だけれど、エバーニア王家の王位継承権が複雑すぎるから彼はそういうふうになるしかなかったのだろうな…ベイがそうやって周囲の(おそらくは何よりも父親の)期待に応えて上手く静かに立ち回ったからこそ、長兄との血みどろの派閥争いにはならなかったのだよな…が、明言されていないけれどわかる…。 主人公の成長譚として読むと、(決して内実はそうではないのだけど)かたちとしては「あれこれ手を出したけど政治に興味を持てないし、自分が前面に出ると失敗するから、国の象徴として存在しつつ、大人しく庭づくりしてるね」オチなのはモニャ…!とするのだけど、これは現代的な読み方なのだろうなあ。幼い少女が成熟し落ち着いた結果、すべてが上手くおさまりました…という結末なのだろうし。 思い出の児童書の再読、面白かったー…! - 2026年9月16日
失せ物屋お百おとないちあき,廣嶋玲子読み終わった大人向け:物語山神さまの鱗を目の中に宿してしまったせいで散々な人生を送ってきた女性が、異能を使って強く逞しく意地汚く、依頼された事件を解決するお江戸もの。 因果応報の連作サスペンスで、この作者さんの得意とする構図だな〜!という感じ! 大人向けなぶん児童書で描かれている作品たちよりも設定も描写も容赦がなくて、でもポプラ文庫なのでただ胸糞悪いだけではなく読後感は爽快で前向き。作品全体でバランスが取れているのは、さすがの筆力だなあ…! 主人公のお百は生まれついての異能に振り回され、虐待への恐怖が未だに根深かったり、女郎屋に売られていた過去があったりして人間不信が根深いのだけれど、山神さまの鱗を取り戻すために人里に降りてきた子たぬきの焦茶丸と出会うことで、他者と深く関わり、ポジティブな関係性を築くことを覚えてゆく。 セルフネグレクトをしていた女性が少しずつ変わってゆく姿が描かれることで、胸糞悪くて落ち込むだけの作風ではなくなっている。 異様なまでに役になりきってしまう役者、理想の人形を作り出すために墓荒らしをする人形作家、望まぬ妊娠をしてしまった娘たちのために地獄に落ちる覚悟を持って子堕ろしを請け負う尼姿の女医…など、「化け物長屋」に住むサブキャラたちのキャラも濃い。 一般の通念から外れて、でも自分らしくしか生きられない彼らも、化け物長屋という社会のすみっこで、社会の中で生きているという設定も、どこかやさしく感じられる。 シリーズ2巻しかまだ出てないぽくて、2巻目が2020年なんだよなあ。続き出ないのかな〜!? もっと読みたい! - 2026年9月16日
東都日報絵師の事件帖 帝都の夜に潜む罪さとい,和泉桂読み終わった大人向け:物語錦絵新聞の残酷画絵師を安楽椅子探偵役に、新聞の探訪を助手役に、という構成は好きだなー。記者と探訪員は違うとか、帝都の様子とかの時代感も読みやすかった。 ただ、作者も仰ってるようにミステリーというには謎解き要素がよわい。 キャラクターの尖り具合にせよテーマ性にせよ事件そのものの魅力にせよ薄味のバランス型だなと感じたので、もっとひとつの方向性に絞ってほしかったのかも。ミステリ要素をもっと足すとか、ホームズとワトソンの関係性をもっと深めてバディものっぽくするとか…時代ものっぽさをもっと押し出すとか。 文体は読みやすいし雰囲気そのものはいいなと感じたので、恋愛もののほうが読み応えある作家さんなのかも。調べたらBLレーベルからも本出してた。そちらを読んでみようかなあ。 - 2026年9月11日
星のラジオとネジマキ世界alma,日向理恵子読み終わった絵本・児童書セカイ系のラノベを児童書にしたような。理屈はよくわからないのだけれどキャラクターがよくて、するする読み進めていったら解放と未来がくるみたいな…感想もポエムになるなこれ。 表紙絵と挿絵の雰囲気がとてもよい。 描写はとてもきれいなので、もう少し王道の(往年の?)児童書っぽい、わかりやすい直接的な物語を読んでみたいなあ。 - 2026年9月11日
ソラモリさんとわたし北村英理,はんだ浩恵読み終わった絵本・児童書コピーライターの女性と、物語(詩歌?)を書きたいけれど書きたいものが上手く形にならない小学生の女の子のひと夏の交流の話。 描写文が説明的ではなくて…ワンシーンや主人公の気持ちを切り取ってる?漫画のモノローグみたいな?印象。感受性が鋭いというか、この感性に合致するこどもにバチっとハマる書き方なのかなあ、みたいな。 テーマや文章構成そのものは、あんまり効果的ではない、考えたらねらいはわかるけど直感的に伝わってこないなあとは思った。これも感性が合致してないだけなのかもしれない…いや、どちらかというとテーマ盛り込みすぎて散らかってたからかなあ。この内容ならば、もう少し長く丁寧に読みたかったのかも? 作中で主人公がやっていた「映画を見て、ポスターに書くキャッチコピーを考える」という夏休みの自由研究は、遊びでやっても面白そうだなあと思った。創作友達との映画鑑賞会とかで。 - 2026年9月5日
うたかたモザイク一穂ミチ読み終わった大人向け:物語sweet、spicy、bitter、salty、tastyに13の物語を分類して集めた短編集。初出も、ananだったり百合アンソロだったりフリーペーパーだったりと多種多様。 「この作家さん、評判良くて読みたかったBL作家さんでは…?」と思って手に取ったのだけど、男女恋愛も同性愛も面白かった!! 女性ヒロインで性が絡んだ話はちょっと生々しくて読後感がどこか重いなと感じるものもあったけれど、全体的に爽やかでキャラクター造形に癖が無く、読みやすかった。キャラ造形は短編ゆえかも。 ただ、「分類:sweet」から短編集が始まってたので、わ〜前向きなラストで素敵〜良い恋愛もの書く人なんだな〜✨と思ったら唐突にストーカー系ヒトコワホラーが入ってびっくりした…。目次には載ってたけど各表紙には分類が載ってないから、分類変わったの気付いてなくて…びっくりした…。 sweet分類のおはなしが好きだなあ。いちばん初めの「人魚」とか。spicyの「ごしょうばん」も民話っぽくて好き。 一巻完結ないし長編で、やさしくて甘めな恋愛小説を読みたいな。どの作品が該当するのだろう。また調べてみよう〜。 - 2026年9月2日
ふしぎな図書館とてごわい神話 ストーリーマスターズ4廣嶋玲子,江口夏実読み終わった絵本・児童書「学校に戻らなくていい、水の合うところで、その子に合った教育を」というのは、最近?の不登校の現実的な落としどころのひとつだというのは納得しつつも、教師が率先して生徒をいじめ、他の児童を煽動して不登校状態に陥れた」(明確に「学校に来なくていい」という言葉が出てる)のがそのままになってるの、読後感が悪すぎないか…? 主人公がもういいよって言ったからいいのか…?ほ、本当にか…??? 味方であるはずのムーサたちが、小学生4年生のこどもを寄ってたかって非難するのもなあ。ギリシャ女神の身勝手な人間味や、「主人公がかたくなになってしまう要因のひとつ(数の暴力を受けて不登校になった主人公であるため)」として配置されている物語都合は理解できるのだけど、読んでて気分のいい構図ではなかったな…。 「ギリシャ神話の英雄たちが神々の理不尽を受けなかったら平和に一生を終えてしまい、英雄譚が生まれないこと」は、「名作を守る」がお題目の世界図書館の住人からすれば大罪なのもわかるのだけど。 ストーリー展開としても、ギリシャ神話の英雄たちが「英雄として死ぬか、平和な凡人として幸福を掴むか」って、ハデスが神々の王になることを望んでなかったのとはちょっと違う気がするので、主人公が改心するハデスのエピソードは的外れというか…。「ギリシャ神話の神様は理不尽だからこそ、ギリシャ神話は面白い」という結論にいまいち納得感がない。 今までの巻は、話を読み進めてゆけば、するっと最終結論が腑に落ちたのだけどなあ。今回は「そんな話してましたっけ?」ってなっちゃった。 主人公の守くん、次巻でも登場するっぽいから、守くんの物語はまだ続くのかな。それなら、今の時点では片手落ちというかすっきりしなくても当たり前なのかも? - 2026年9月1日
日下部くんには日傘が似合う神戸遥真,ぽん豆°読み終わった絵本・児童書きれいな男の子の日下部くんがガーリー系の女の子向け日傘を使い出したことで、周囲のこどもたちが「いつのまにか確立してしまった自分のキャラという殻」や世間の目に対する羞恥心から自分にとって不利益な行為を選択してしまっていたりすることに気付いて、少しだけ変化が起きる話。 他の人間からすればなんてことない、本人にとっては大きな一歩を連作短編のかたちで描いている。 さらっとした読み心地でするする読める。葛藤や変化による周囲とのトラブルなどを深掘りしていないぶん読みやすく、また、深掘りされていないから心にはあんまり残らないかもなあ、と思った。 日下部くんは、自分に正直でいようと思って、バスケもヘアケアもするし可愛いと思った日傘を上機嫌で使う。日下部くんのポテンシャルが高いのもあり、まわりは「(男の子なのに変だという気もするけど)まあ日下部くんだし」とスルーしたり、変だと思って着目してちょっと友達と噂をしたり、正直であれない自分と重ねて寝たんだりする。 こういうテーマをさらっと読みやすく描くの上手い作者さんだな〜。 タイトル、難しいよな。 本当は、「似合うからアリ」ではない。「その人が好きだから、したいからやる」それだけで、似合うか否かは関係ない。 ただ、似合うと批判を受けなくて済むからスムーズだし当人の心が傷つかずに済むし、まわりが受け入れやすいのも確か。 (まあなんかこのタイトルはそういう意地悪な意味ではなく、「やりたいことをやっている姿は格好いい」「自分に正直ならば馴染んでしっくりくるように映るものだよ」みたいな応援メッセージの意味が強いのだろうなとは思うのだけど。ラスト、ガーリー日傘が他のこどもの手に渡るのってそういうことだと思うし) - 2026年8月30日
すみれ屋敷の罪人降田天読み終わった大人向け:物語『少女マクベス』が面白かったので別作品も読んでみたいな〜と思い、タイトルと表紙がきれいだったコレ! 面白かった! 確かにジャンルとしてはミステリーなのだけど、スポットが当たっているのは戦時下という時代に翻弄されるキャラクターそのものだなと思った。 途中からこういうことだったんだろうな〜は透けるのだけど、真実に至るまでとその後の人間心理を丁寧に描いているので、最後まで面白く読める。 「往年のすみれ屋敷の話を、まだ存命の関係者ひとりひとりから聞く」形式なので、それぞれの立場からそれぞれのキャラクター、時代が描かれる。それぞれが抱えた秘密から目を逸らして、自分に都合よく記憶を曲げている。 「絢爛たるすみれ屋敷の思い出のベールが剥がれて、かつての真実が明かされる」形式だし、確かにそこに罪はあったのだけれど、それでも読後感は切なく清々しい。 謎が明かされてゆく過程で、キャラクターたちによい変化が訪れるのだよな。少女マクベスもそうだったので、この「つらいけれども、謎が明かされてよかったなあ」と思えるように展開するのは、作者のこだわりなのかもしれない? 戦時下という異常事態で、それぞれの心が少しずつこころの歯車が狂っていったり、最初から狂っていたり。茜さんの最後に巻き込まれる桜さんちょっと可哀想すぎるけれども。 三姉妹と使用人たちで、絆の描き方が対照的なのが、かなしくも美しい。 市川さん…市川さんもなあ…彼の主張もまたすみれ屋敷の人々を想ってのことだったのがせつないな…。 桜さんが姉を疎んでアカだと嘘の密告をするシーンがぞっとしたな…。桜さん、平和であればそんな過激な加害行為をするような人ではないだろうというのはそれまでの描写でわかるから、「戦争はそこまで人を変えるのだ」というわかりやすい例示だった。 葵さんがあれは己への悪意ではないと信じてるあたりも、そうだね、そりが合わずとも大事な妹だものね、そう信じたいよね…とじんわりつらい…。 全員必要なキャラクターだったのだけれども、人数多いし人間関係も多様だったので、誰が誰か曖昧なまま読み進めてることが多かったのが残念かなあ。屋敷の見取り図とキャラクターの一覧図ほしかったかも。 誠の命が救われるところもなー…そこだけファンタジーすぎる気がするので、もう少しぼかすというか、「まあ現実的には違うだろうけど誠はヒナかもしれないと夢をみる」くらいのラインに落とし込んでほしかった。 面白かった! 次はどの作品を読もうかなあ…! - 2026年8月25日
ふしぎな図書館と魔王グライモン ストーリーマスターズ1廣嶋玲子,江口夏実読み終わった絵本・児童書キーとなるものを奪われた結果、まるで違う月末になってしまっている名作童話の世界に入り、何がキーになるのか?を推理して、本をあるべき形に修正してゆくアドベンチャー。面白かった〜!! 改変された物語がふつうに読み応えがある。ヘンゼルとグレーテルとか、貧乏で子捨てを決行する親の元で生まれ育ったこどもってそりゃこう育つよな…の納得感がすごく、それゆえに本来の物語の善性が際立つ。 ラプンツェルは、完全に歪んだ親子愛のメリバで、確かに子の成長は阻害されているのだけど、「でも誰も被害に遭ってないし、物語として見ればこれも美しい人外の愛だよな…」となる。まっとうな感性のこどもである主人公が「これは違う!」ってその物語を拒否する流れもまた清々しい。 全編、キーとなるものが物質ではなく登場人物の精神性(兄妹愛、とか)であるのも、人生を変えるのはその人の心なんだよなあ…のメッセージがわかりやすくて児童文学らしい。 世界の名作を貯蔵する不思議な図書館、味方となる名作の作者たち(1巻ではグリム兄弟だった)、不思議な物語を改変する敵:天邪鬼…など、世界観や散りばめられたキーワードも王道アドベンチャーでわくわくする。続きもすぐ読もう〜!! - 2026年8月18日
6+1の不思議斉藤洋,森田みちよ読み終わった絵本・児童書不思議シリーズの4巻目?という位置付けでよいのだろうか。 既刊3冊は違う出版社から出てる、メインキャラクターが違う、微妙にオチの付け方が違うから、スピンオフ的な感じ…? 作者の投影にも似た童話作家を語り手(狂言回しのほうが近いかも)に、小学校の同級生たちがかつて体験した「ふしぎなこと」を語る連作短編集。 オチも解釈もはっきりしない、あいまいな読後感。わたしはもう少しはっきりした解釈がつくか、もっとふしぎに振り切ってるほうが好みだけれど、このオチのない感じが好き!という人もいるのだろうなー。 最後の最後で、すごくブラックなオチがつくのだけど、児童書区分のお話で読みたいオチではなかったな…。ヤングアダルト区分なら似合いそう。 - 2026年8月18日
読み終わった大人向け:物語最近楽しく読んでる、お江戸の旅籠ものの第5巻。 「一巻では、ちはるちゃんは怜治さんとくっつくと思ってたけどぜんぜん色恋展開にならないな…さらっとサブキャラで出てきた男と結婚するパターンなのかな…」と思ってたら、5巻目で怜治さんからの矢印がちょこっと出て「あら〜〜〜〜〜〜✨✨✨」となった。 兄弟子代わりの年上男性との間に割って入る怜治さん…よき…。たまおさんだけが怜治さんをちょっとつついちゃう距離感もよき。 読み終わってから表紙絵を見ると、またにまにましてしまう。真面目な顔して板場を覗き込んでるから慎介さんかと思ったけど、これ、怜治さんが若干嫌な顔してるのか…可愛いな…。 こういう、シリーズの中でゆったりこっそりと恋心が描写されるの、くすぐったくて楽しいな…。 タイトルにもなってる白玉の三宝尽くしのお料理も美味しそうだった。物語性が高い膳っていいよね…。 - 2026年8月14日
レディオワンクリハラタカシ,斉藤倫読み終わった絵本・児童書とにかく表紙絵がおしゃれ!! タイトルもいいし、ぱらっとめくると字も大きめで読みやすそうなので、本屋さんでぱっと目を引かれて手に取ってしまう感じの本だなーと思った。 「喋れる犬がラジオのDJをしている」という設定がもう面白い。 文章が句読点多めで漢字もひらき気味だったので、ターゲット層は年齢低めなのかな…? レーベルは「飛ぶ教室の本」というらしい。他書籍のラインナップ見ても、絵本っぽい表紙絵が多いな…。いやでも二宮敦人とか書いてるな…。 (雑誌のほうの飛ぶ教室は読んだことあるような…ないような…?) ただ、文体や漢字づかいのわりには、扱われているテーマを面白く読めるのは小学校中〜高学年からくらいじゃないか…?という印象だったので、どこかちぐはぐだったかも。 それにしても表紙がとてもいい。 - 2026年8月13日
千弥の秋、弥助の冬廣嶋玲子読み終わった大人向け:物語シリーズ第一部、最終巻! 幸せいっぱいだった前巻からの落差が…話の作りが上手すぎる…。なんとなく7巻から一気に読んだのだけど、正しい読み方であった…。 醜悪かつ一途で一方的な恋慕の果てを示した8巻、サブキャラのもとへ新たな命が生まれる寿ぎの9巻、今まで積み重ねた絆がこぼれ落ちて失われ、そして新しいかたちに生まれ変わる10巻。 10巻かけて弥助が育って、養い親とふたりきりだった世界が広がって、このラストに辿り着けたのだなあ…。しみじみと嬉しくてかなしい…。 第二部からは親子関係が逆転するわけだけれど、赤ん坊千弥さんには、物心ついたときからいろんなひとがいて、たくさんの愛に包まれながら、たくさんの妖怪たち人間たちに育てられるのだなと考えたら、弥助の育ちとはまた違うのだなあと感慨深い。どちらも愛です。 しばらく一部に浸ってから第二部を読み始めよう…。 あと、9巻からいきなり出てきたけれど、細雪丸、生き方がめちゃくちゃかっこいい。10巻表紙で後ろ姿なのがもうなんか粋。 - 2026年8月13日
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂(1)jyajya,廣嶋玲子読み終わった絵本・児童書廣嶋玲子さんの代表作!(だと勝手に思ってるのだけど実際どうなのだろう) 巻数が多いな〜と後回しにしてたのだけど、妖怪の子預かりますシリーズが第一部を読み終えたので、満を持して読んでみた。 不思議なお店でそれぞれが求める商品を購入してどうなるか…を描いた、すこしこわくてドキドキするお話! なるほど! 購入者が駄菓子をうまく使って幸せになるラストが多いのだけど、でも、読み心地としてはホラーっぽいな…因果応報として悪人が不幸になるオチが刺激的で強く印象付くからだろうか。廣嶋さん、因果応報を主軸にした連作短編、よく描いてらっしゃる気がする。読後感が子預かりではなくて鬼遊び系に近い。別作に例えるなら世にも奇妙な物語かなあ。 でも、雰囲気のあるお店描写にキャラの立ってる店主のおばさん、いろんな効果がある駄菓子たち、お代の支払い時のやりとり…と、人気になるのもわかるなあと納得。これアニメ映えする。わかる。 因果応報オチや裁けない悪人が異界のモノによって裁かれる筋書き、個人的にはとくに嫌いでもないのだけど、「クッキングツリー」だけは嫌だなあと感じた。 この話の主人公兄弟の家にはソーシャルワーカーが訪ねてきており、彼らには現世の福祉の手が差し伸べられていたし、与えられた不思議駄菓子の約束を破ったのは兄弟たちも同じはずだった。それなのに、虐待していた母親だけツリーに食われて母親が別人に入れ替わった?オチはなんか…安易でご都合!! あと自分が持ち込んだわけではないにせよ、母親がおそらく殺されて、でも「新しい母親はやさしい!このほうがずっといい!」ってこどもたちが喜んで終わるのはあまりにもブラックで読後感が悪すぎる。これ差し入れた近所のお姉さんも間接的に殺人に関与してることになるが??とか、なんかどこ見ても後味悪いなこの話!! んんー…他にも気になるシリーズたくさんなので、そちらを読んでみて、続きも読むか決める感じかな! - 2026年8月13日
読み終わった絵本・児童書ライトな児童向け連作短編スクールミステリー、面白かったー! 「みんなを幸せにする解決をしたい」という探偵の拘りがすてきなホームズリスペクトバディもの。 謎の難易度も低くて、さらっと読める。 「謎が解けない探偵と実は推理力抜群な助手」設定の作品、それなりに増えてきたと思ってるのだけも、そのバディものの入門書としてちょうどいい塩梅。 探偵役の紗楽ちゃんの推理できなさがギャグの方向性で進まないので、探偵が貶められることなく、むしろ助手の和戸くんが紗楽ちゃんのカリスマ性を買ってて自身もその光っぷりに惹かれているので、読んでてきもちがいい。前述の紗楽ちゃんの探偵としてのこだわりも相まって、どの話も読後感がよかった。 というか紗楽ちゃん、推理、できてるよな…。知識と丁寧な観察に基づいた着眼点はすごく良くて、その点と点の組み立てがちょっとずれてるだけというか。小5でこれだけ推理できてたらかなりの秀才探偵だよ!!和戸くんが直感型天才なだけだよ!!感。 そういう意味ではタイトルに偽りありなのだけど、でも、タイトルいいよなあ…。 表紙絵の爽やかでどんなバディかよくわかる雰囲気感も好き。 中もイラストがふんだんで推理の流れがわかりやすい。この作品、コミックにしても映えそうだなあと思う。 和戸くんの過去にシリアスな謎が隠れてるぽいのだけど、シリーズ続いてゆくのかなあ。 どちらかといえば、ほのぼの日常ミステリ系で続いて欲しいのだけど…でも元刑事の探偵さん出てきたな…うーん…待て次巻!!
読み込み中...