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花春
花春
@haru-tuge
イイネは気になった本とか素敵な感想ですね!のやつ アイコン:シマエナガとお花のアイコンメーカー
  • 2026年5月26日
    やくやもしおの百人一首
    百人一首かるたの「こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに やくやもしほの 身もこがれつつ」の取り札(の付喪神)が、消えた相棒の絵札を探しに、藤原定家の元へタイムスリップして人間の女の子になり、百人一首が成立するまでを追う話。 全体的に構成と設定が上手い…! 主人公の目的意識がはっきりしているから物語の筋がブレないし、人に作られて愛されて継がれてきたかるたなので人が好きだし好奇心旺盛だし世間ずれしてないけど気にしないし…といった主人公の人物造形に無理がないし、天から落ちてきたのを見られてるから後世のことを喋ってたり平安には無い文化で接しても「天の言葉、天の様式なのだな」とおおらかに受け止めてもらえてさらりと進んでいくし。 歴史の下地をしっかり知ってる作者さんなのだろうなあと感じる。でも歴史知識を詰め込むだけではないというか、お話として純粋に面白い。引き算が上手い?のかなあ。 武家社会に移ろいゆく平安の世の不安定さは描きつつも、前向きにその世界を楽しめる感じがとてもいい。読んでいて楽しい。 現代のこどもの知識量に合わせて説明を多めに入れつつも、解釈が定まっていない部分は断定せず、「もしかしたらああだったかも?」の余白を残しながら「今回はこういう解釈で」としてるあたりが好感が持てる。 百人一首ってそうだったんだ!?を物語に沿って知れるのいい…頭に入る…。 登場人物もみんな素敵。定家さんいいひとだ〜!とか、この藤原信実の娘の薫って実在のひと? → ググる → なんかそれらしき人が複数ヒットするけどどの子だ…!?とか、偉人の名前を好印象で覚えたり、そこから自分で調べたいなと思わせるのが上手い。 「松浦宮物語」とかも初めて聞いた。定家の作と言われるけれど定かではない…ほほう…。 この作者さんのお話をちまちま読んでるのだけど、どの話も面白い。良い作者を知れた…。
  • 2026年5月26日
    カトリと眠れる石の街
    カトリと眠れる石の街
    19世紀のエディンバラを舞台にした児童向けミステリー! ぜんぜん知らない作者さんだったのだけれど、たまたま書棚でみつけて、表紙絵や想定がとてもすてきだったので読んだ。面白かった! 労働者階級で旧市街住みのカトリとブルジョワで新市街住みのリズ、少女ふたりのバディもの。階級差があるバディものは、階級差が無いかのような扱いだと白けるし、克明に描きすぎるとしんどいし…で塩梅が難しいと思うのだけど、カトリが良い養父母のもとで地に足つけてしっかりと生きてるので、身分差のあたりが息苦しくなく読めた。 しっかりしてるのだけど世界は狭かった(当たり前のように養父母の跡を継いで同じ階級の男性と結婚して旧市街から出ずに一生を終えるものだと思ってた)カトリが、養父もかかった「眠り病」の事件解決を通じて世界を広げて、一歩外へ踏み出す流れがジュブナイルとしても爽快。 エディンバラの町の歴史のミステリアスさも相まって、雰囲気感がとても良かった。 眠り病の事件そのものはなんかこう…予想外にファンタジーしてたというか、クトゥルフ神話とかプチSFっぽい方向性だったので、あっミステリーじゃなくてファンタジーの話だったんだ!?は好き嫌いありそうな気がする。わたしは嫌いでは無いです。リアル路線ならより面白かっただろうなあとは思うけども、続刊読んだらまた変わるかも。
  • 2026年5月26日
    猫町ふしぎ事件簿 猫神さまはお怒りです
    好き〜!! 主人公が、ちょっと押しに弱くて、流されやすくて、いい子! 猫たちが呆れながらも可愛がるのがよくわかる感じ。 猫神のおまざりさまが、ちゃんと神さましていて、猫たちの畏敬を一心に受けるのも納得。このあたりの信仰を描くのが上手い作者さんなんだろうなあと思う。 わたし、廣嶋玲子さん好きなんだなたぶん…。シリーズひとつずつ丁寧に読もう…。
  • 2026年5月26日
    ようかいとりものちょう(1)
    思ったよりしっかり「捕物帖」してて読み応えがあった。お江戸の人情感や、妖怪の習性(ろくろ首が覗き魔の女とか)もわかりやすく描かれている。 金貸しの狒々にぼんやりしたのっぺらぼうのこどもが攫われて…という、すごくお江戸ものでありそうな題材をしっかり押さえてるのもいい。 絵柄がアニメやゲームっぽいのもこどもからすればとっつきやすいだろうし、江戸ものの入門書としてとてもいい気がする…。 アニメ絵っぽいハッキリしたコミカルな絵柄に、漫画のコマ割りみたいな文字の入れ方で、書籍としてはゴチャゴチャしていて読みづらいかも。(これもこどもから見たら「絵がいっぱいあるしいろんなところに文章があるので刺激的」になるのかも?) 文字が大きくて筋書きがシンプルなのでまだ読める…!いける…! 20巻くらい出てるらしいので、ゆるゆる読みたいな…。
  • 2026年5月26日
    はりねずみのルーチカ
    はりねずみのルーチカ
    見返し部分に主人公のルーチカたちが住んでる森の地図と、ルーチカが歌う即興の歌の楽譜が書いてあったり、文章と挿し絵のページが分かれておらず文章内に挿絵があったりして、こういう児童文学大好き〜!ってなった。 第一話目からして、パンに塗るジャムがなくなったから、あかすぐりの実を摘みに行く話なんですよ…わたしも歌いながらあかすぐりの実を摘んでちょっぴりはちみつ入れてことこと煮たい〜!! まっしろいクリームのケーキにわたしが摘んだ実を使って欲しい〜!! 風の少年のトゥーリが、森で集めたうつくしい音のかけらを風の笛に滑り込ませて吹くところがとてもきれい。 可愛らしい世界観の、可愛らしいお話。好きだな。
  • 2026年5月21日
    エコール・ド・プラトーン(1巻)
    関東大震災後、大大阪にて花開いたモダニズム文学あれこれを、川口松太郎を主人公に据えて、雑誌『苦楽』の編集をメインに?全2巻で描いた話。 震災がそれぞれの作家に大きな影響を与えたであろうこと、というか大体において錚々たるメンバーを揃えての雑誌創刊が叶ったのは東京が被災していたからであることなどがわかりやすく示されており、漫画そのものはさっくりと読みやすいがよくよく考えると重い…! 直木三十五って編集者だったの!?震災を契機に小説を書き始めた!?とか、舞台演劇で演出という言葉を初めて用いたのは小山内薫という方…ほうほう…とか、「なんとなく知ってる作家のエピソードや、知らなかった新しい文化人のお名前と功績をわかりやすく知る」のが楽しかった。
  • 2026年5月19日
    モンスター・ホテルでおどりましょう
    思い立って、「幼い頃に読んでたモンスター・ホテルシリーズを発行順に読み返す会」をひとり開催しているのだけども、9作目のこの踊りましょうがとても好き…。 モンスターホテルに設備不備が出たので、急遽、閉館した劇場に宿泊客みんなと一時避難したら、扉の鍵を閉めるの忘れたせいで人間が「あれっ開場してる!」と遊びに来ちゃって、まあモンスターたちは楽しいこと大好きなのでウキウキで発表会しましたよね!という話。息をするようにすべてをネタバレしてゆく。 モンスターたちが舞台で好き勝手に歌って踊ってしてるのを、何も知らない人間たちが楽しんで観て拍手を贈る。老夫婦が劇場での思い出話をしたり、若い青年が暇潰しに入ってみたけど面白いじゃん!とはしゃいだりする。 モンスターたちのやむなく行った一時避難が、人間たちにとっては、一夜の夢のような観劇体験になる。 異種族(異文化に生きるいきものたち)が、それぞれらしくしていたら上手く噛み合って素敵な体験になったね、という話がわたしは好きなのだろうなあ…と再確認した。 わたしも見たいな、ドラキュラと透明人間のタップダンス🕺
  • 2026年5月16日
    syunkonカフェ どこにでもある素材でだれでもできるレシピを一冊にまとめた「作る気になる」本
    山本ゆりさんのレシピ、別に困るというほどでもないけどちょっと引っかかるよね的な部分に補足が入ってるときが多くて、かゆいところに手が届いている〜!と嬉しい。 「生クリームの代わりにコーヒーフレッシュ垂らしてみたけどほぼ映らんのでいらないです」とか、「これフライパンの横の部分に貼り付くのでこそぎながら炒めて」とか。 A4でちょっと手に余るサイズ感なのだけど、そのぶん写真が大きくて美味しそうに見えるので、作りたくなるレシピ集。 レシピがほんとに簡単で作りやすくて嬉しい。家に揃ってる調味料で使えるレシピ集有難い…。手間も時間もかからないけどなんか美味しそうに見える!みたいな料理がメインなので、時間かけたくね〜!と思う日常の調理に活用できる。 ゆりさんのコメントが関西人だな〜!と思う開けっぴろげで笑えるノリなので、コメント読んでいくだけでも楽しい。「冷凍した瞬間、私のなかでは賞味期限は永遠に切り替わる」とかわかるわかるわかる!ってなる。そんなわけはないのだけども!! あと図書館で借りたらカバー外した状態だったので、「表紙、文字のみ!?さすがにいさぎよすぎる!!」とびっくりしたのだけど、本来は美味しげなお料理の写真カバーがかかっていたのだね。そ、それは外すなよ…!さすがに…!!
  • 2026年5月16日
    トラブル旅行社 砂漠のフルーツ狩りツアー
    さっくり読めてとても良かった〜! 自分のちょっとした(けれどもこどもにとっては切実な)トラブルを解決するために、なんかファンタジーな世界で、やさしい大人たちに見守られつつ同年代の友人を得つつ冒険する、という昔ながらの王道展開を、ちょっと現代っぽくライトに読ませてもらった感じ。 「指定の物を手に入れたら現実世界に帰還できる」王道の流れが、どこかゲームのミッションっぽい気楽さで描かれてて、読み心地が今風だな〜と思いながら読んでた。 フクロウの羽がチケットになってて、飛ばされた異世界ではそのフクロウがガイド役になってくれてるのすごくいい。帰還後、その羽ペンが冒険譚をさらさら紙に書いてゆくオチも。お話の構成とわくわく感が上手い〜! これ続き出てるのかなあ。次も読みたい。
  • 2026年5月14日
    星空としょかんへようこそ
    星空としょかんへようこそ
    カバーとか書体とか全体的な雰囲気がとても素敵で、楽しみにしながら読んだのだけど、何が表現したいのかがまったく伝わらず…っ! 作者さん、よくお名前聞く方なんだけどなあ。他の作品も読んでみたいな…。
  • 2026年4月19日
    夜の童話
    夜の童話
    漫画の短編集! 初出は90年代の同人誌らしい。どうりで余白多めで読みやすいなと…。 どのお話も、タイトル通りに「夜の童話」イメージで、しずかで、やさしくて、せつなくて、とても良かった…! この作者さんの漫画でいちばん好きかも。 「家路」「庭」「バイエルのワルツ」が特に好きだなー。
  • 2026年4月17日
    銀座ともしび探偵社(新潮文庫nex)
    この作者さんずっと気になってたのだけど、やっと読めたー! 「大正の銀座で、失われゆく『不思議』をランプで集める探偵社」という舞台設定がもう素敵だったなあ。 探偵…ではなくない…?という肩透かし感はどうしてもあったのだけど(作中でもそれは指摘されてる)、ふつうに大正ロマンファンタジーとして面白かった。 各キャラクターの関係性の薄さ…「不思議が見える人間同士という連帯感はあるものの、基本的には同じ職場の同僚でしかない」距離感もリアルでよかったなー。 ただ、だからこそ、他キャラクターに対して失礼な見方をしているところが散見されて、モニャ…となる部分も多かったかも。現実的に考えれば、職場の同僚に対してそこまでの理解は必要ないのだけど……でも、創作だし、もっとちゃんとわかりあって欲しいというか、少なくとも「まあ自分には見えてない事情もあるのだろうな」程度の礼節は持って!的な…。いやこれ高望みというか実際にそう描かれてたら人間としてできすぎてて不自然な人物像になってたかもしれない!難しいな! キャラクターひとりひとりの個性や、ともしび探偵社に対する思い入れとか探偵社との繋がりとかはとてもよかったので、各キャラクターの掘り下げをもっと見たかったなあ。
  • 2026年4月3日
    ゲストハウス八百万へようこそ
    全4話の連作キャンペーン中、第1話を読み終えた時点でギブアップ。 若い女性が古民家を改装しながら外国人向けのゲストハウスを経営する、手伝っているスタッフはそれぞれタイプや人種の違う男性ふたり、いろんな国から日本に遊びに来たゲストキャラクターをメインにどたばたほっこりした日常が各話で描かれる…など、散りばめられたひとつひとつの要素や全体的な雰囲気はすごく好きだった。 不法滞在や生まれ育った国の違いからくる価値観の相違によるトラブルなど根深い社会問題も取り扱いつつ、しんどくなりすぎないようライトにまとめてあって、お互いに歩み寄って「日本が好きだよ!」と笑い合って終わる前向きな着地のさせ方もよかった。明るい読み心地。 ただ、主人公たちの仕事のやり方の適当さに、職業意識というか誠実さを感じられなくて、キャラに対しての好感度が第一話途中で底辺に落ちたあと戻らなかった…。 たぶん、「外国人向けゲストハウス」という仕事の説明や描写が足りなかったのだと思う。 作中で「ここがゲストハウスの難しいところ」なんて雑なひとことでまとめられていた部分を丁寧に描いてないから、「ゲストが法を犯してたり町の住民に迷惑かけてるのに目を瞑って自分たちは関係ないふりをする」とかの消極的な態度に対して説得感が生まれず、「これはただ無責任で適当な仕事してるだけだろ」と感じてしまった。作中では良い意味でのゆるさだと表現していたけれど、読者であるわたしが理解を示せなかった。 どうして収支もプラスになってないのにゲストハウスを頑張り続けたいの?そこまでの熱意と『ゲストハウス』だった理由はどこ?とか、スタッフもなんでここで働いてるんだろう?働いてて楽しいのか??のキャラクターへの理解も一話目でできず、キャラへの愛着もわかなかった。 全体的に惜しい!という印象。
  • 2026年3月19日
    それでも旅に出るカフェ
    各国のスイーツを食べながらのコージーミステリー、シリーズ2巻目! このシリーズは、単行本も文庫本も、どの本も表紙デザインが最高に素敵…✨ タイトルが読みやすくて、落ち着いていて上品で、明るくて、静かで、美味しそう。装丁のひとのセンスがいい…。 内容的には、連作短編10編すべてがコロナ禍〜ウクライナ侵攻が始まったあたり?の時期を舞台にしており、漠然とした不安感と閉塞感と断絶を感じながら、それでも美味しいものを食べ、人と話し、笑い、つながりながら日々を乗り切る…というテイストでまとまってた。 主人公のコロナ禍へのぼんやりとした、けれど確かにずっとある不安感や、世間と自分の感覚の乖離に強いシンパシーを感じつつも、「もう、この頃の不安感を忘れていて入りきれないなあ」とも感じて、最初は「読む時期が遅すぎたかな」と思ったのだけれど、読み終えてみたら、「コロナへの恐怖と不安が落ち着いてから読んでよかったー!」となった。 こう…前作と違って、「漫然と不安で、重い気持ち」のまま終わってる! これ多分、主人公に感情移入しまくれる時期に読んでたらしんどかった! 今でよかった!! コロナで「旅が難しくなってしまった」時期にしか描けなかった物語たちであるのは確かで、この「店主が世界中を旅して、その土地で出会った美味しいものを日本の小さなカフェで出す」コンセプトだったシリーズでこの2冊目となったのは、すごいと思う。それでも旅に出るカフェ。それでも。すごい。面白かった。 ただ、リアリティに寄りすぎて、読んだあとに気持ちが晴れなかった。 ほんとにすごい構成だと思うし、心が揺れる話もたくさんあったのだけど。このシリーズに期待した読後感ではなかったのかなあ。最終話が特に気持ちがざわつくような終わり方のお話だったのも大きいかも。 どの話が好きだっただろう〜と目次を見返したら「あなたの知らない寿司」「彼女のためのフランセジーニャ」なので、やっぱり読後感がいい話が読みたかったのかな。 きもちはざわざわしたけど面白かったのは確かなので、3冊目が楽しみ。
  • 2026年3月18日
    ニュクスの角灯(1)
    全6巻、読了! 1870年代、しかも長崎となると馴染みがないというか、うっっっすらとした知識しか無かったのだけれど、主人公の設定が「学も自信も無い内気な少女」で読者と知識量が近しかったため、するすると読めた。 教育機会の与えられなかった少女が、やさしくあたたかに導いてくれるひとたちの中で花開いてゆき、自信をつけて世界を知ってゆく流れが、読んでて嬉しくなるような話だった。それぞれのキャラクターの置かれてる環境とか、環境が及ぼす影響とか運命とかは決してやさしいものではないのだけど、でも、人は人に支えられて、逞しくやさしく生きていけるんだな…とどこかで希望が持てるようなお話。 あと当時の外国文化とか日本の民俗にわくわくした。 エンディングは賛否両論あったらしいけれど、わたしはそれでも世界は続いてゆくのだという希望を感じたなあ。戦禍にあらゆる文化と歴史を一瞬で奪われながら、でも現代に続いているよね、みたいな…。 ただ、あと一歩ハマりきれない感じはしたなあ。「神通力」の設定とか結核とか、ひとつひとつのエピソードの使い方と流れはすごく良かっただけに、もう少しひとつひとつを深掘りして丁寧に描いてほしかったのかも。あと結核とアルコール依存の話は、最終的にアルコールのほうかわフューチャーされてたように思うので、ちょっとブレてたのではないかな…と思う…。 (作者さんご自身がアルコールと戦った人らしいので、実体験による思い入れが大きすぎたのかなあ) いやでも、面白かった!
  • 2026年3月1日
    オークの樹の下(1)
    吃音由来で虐待されてた令嬢が、政略結婚相手に深く深く愛されて少しずつ成長する令嬢ロマンス。 主人公のマクシーが内気な既婚女性なのもあり、展開も地味で、想像よりも落ち着いて読めた。 コミカライズよりも登場人物たちが落ち着いてて、ロマンスファンタジーというより、地味なハーレクイン小説っぽいのかも。 内容の半分くらいセックスシーンなのだけど、「夫…奥さんのこと大好きなんだね…」と微笑ましくも苦笑いしてしまった。これ夫の部下も同じ心境なんだろうな…。 変に三角関係とかにならず、ヒーローにひたすらに愛されることで、怯え縮こまっていた令嬢が少しずつ成長して愛情を返そうと頑張る構図に振り切ってるのがいい。 マクシーは最初、夫の領地で完全にアウェイな状況で。領主の夫人として家政を取り仕切らなければいけないけれど、まともな教育を受けてこなかったために何もわからなくて。わからないならば助けを求めれば良いのだけど、出来なければ殴られ罵倒されるばかりだったから、役割を果たせないと失望されてしまう!と怯え、努力の仕方もわからないから八方塞がりになって、楽なほうに逃げたくなって…というマクシーの姿が痛々しい。 愛されずに殴られ続けたのは親が悪くて、彼女に何も罪はないのに、「親にも愛されぬ価値のない娘だと知られるのが恥ずかしい」と考えてしまう。 貨幣の計算が上手く出来なかったとき、「どれだけ大切に育てられてきたんだ」と呆れられて、何も言えずに口を噤むシーンは胸が痛かった。彼女は生まれてから大事にされたことなんてないけれど、そんなもの外からはわからない。 卑屈だけど素直で、庇護してくれる夫には懐いて頑張ろうとしてる姿を見て、領民たちが少しずつ彼女に心を開いて彼女の成長を助けようとしてるので、虐待児童が癒されて成長してゆくジュブナイルを読んでる気持ちになる。 吃音は環境によって変わるから、少しずつ変化があるといいね…!と応援しながら読んでた。 あと、ヒーローのリフタンは異教の下級騎士身分のため、言動も気性も荒い。翻訳文が丁寧で簡易な日本語なのもあり、その言葉の荒さが余計に強調され、「うちのお嬢様になんて口を!!」と、後方乳母面をしてた。 マクシーのことがとにかく好きで大事にしたい!絶対結婚したいからした!結婚したなら後悔させたくないから(生家でしていたような)贅沢もちゃんとさせてあげたい!危ないことしてほしくないから城の中から出ないで欲しい!ずっと抱いてたい!!と、言動がものすごくわかりやすい。愛が深くて幼い。 ただ、煌びやかな宝石よりも、お前が妻に見せたいと思って摘んだ野花や、大地を翔けるうつくしい馬のプレゼントを喜んだ意味をもう少し深掘りして考えて欲しい。彼女は大切になんかされてなかったんですよ!! 数ページに一回単位の小刻みな章立てはWEB小説っぽい。話の区切りが全然ついてないところで章が変わるので、書籍としては読みづらいかも? 細かく隙間時間に読むことを考えたらしおり挟みやすい! 2巻目以降はどう展開するのだろうか…。安定した環境で、少しずつマクシーのこころも成長して、リフタンに恋をしたらいいな…。
  • 2026年2月28日
    幽霊絵師火狂 筆のみが知る
    タイトルや表紙絵から想像するよりずっとさらりとして読みやすかった! お江戸ものかと思いきや明治になって10年は経ってたり、幽霊絵師と箱入り病弱娘のバディものかと思いきや絵師は相撲取りみたいにふくよかな巨漢であったりと、あるある王道から少しだけ外した設定で、だからこそ色気が抜かれていて、さっぱりとした読み心地になってる。 「幽霊絵」がテーマになるならば死んだ人間の未練と関わらざるをえないので、どろついた心象になりがちなのが、するりと水のように読めたのすごいなあ。 時代の変遷や生まれによる人生のやるせなさや噛み合わず悲劇で終わるしかなかった人間同士の関係性など、題材を取り出したらどろついてるのに、読みやすい。連作短編集で、ひとつの事件を掘り下げすぎてないからというのもあるのかな? そのあたりのバランスが絶妙。面白くてさくさくと一晩で読み切ってしまった。 大事に愛されている箱入り娘が幽霊絵のあれこれを通して少しずつ成長してゆく構図はしゃばけを彷彿とさせるけれども、こちらのほうがキャラクターたちが等身大な気がするなあ。人間だものね。 どのお話も好きだったけれど、「若衆刃傷」の菊乃さんの想いには胸がぎゅっとなった。すべてを受け入れて恋に殉じた菊乃さん…。 あと表題作の「筆のみが知る」、さらりと重い!父親マジで父親ァ!! 続編が出ないまま文庫化してるっぽいけど、続き出ないかなー!
  • 2026年2月20日
    まほうのマーマレード
    茂市さんのお話って、どれもタイトルや舞台、モチーフがきれいで可愛らしくて、読んでみたくなる。つるばら村とか。 この話は表紙がとてもいい。月明かりの中できらきら輝くマーマレードに、番猫ちゃん。かわいい。 お話そのものはシンプルだけど、美味しいマーマレード作りたいな!と思わせてくれる可愛らしい話だった。
  • 2026年2月20日
    おぼえていろよ おおきな木
    図書館に置いてあって、「なんかタイトルすごく覚えがある…100万回生きた猫の作者さんだ!?」となって借りてみた。 読んでも思い出せなかったので新鮮な気持ちで読了。 この作者さん、身勝手?自分本位?素直?で魅力的なキャラクター描くの上手いよなあ。どの作品も主人公が素直だな〜!と一周回って感心しちゃう。 素直なひとが、素直に生きすぎてやらかしたり挫折したりしながら、いい感じに収まってゆく。素直なひとって可愛いね。
  • 2026年2月20日
    千年先のあなたへ
    宮大工の仕事について小学生の女の子が知る児童文学。 文量少なめだし、ただ「宮大工のお仕事現場を見学に行く」だけの話なので、さくっと読める。 主人公の姉を「宮大工に憧れて実際に夢を叶えた女性」にした設定が上手いなあ。 宮大工って何!?きれいな黒髪だったのに切っちゃったの!?切れって言われたの!?と心配して見学ツアーに参加して、宮大工という仕事に興味がない状態から姉が憧れた世界の一端を知ってゆく。主人公が可愛らしいし、構成としても読みやすい。 「宮大工の仕事の紹介」に終始しており、主人公に当事者性がゼロだった(狂言回しみたいな役回りだった)のが残念かなあ。学研とかにありそうなお仕事紹介マンガみたい。 ただ、当事者性が無いからこそスマートなお仕事紹介モノに仕上がってるのかもしれないなあ。 タイトルがきれい。千年先のあなたに見せたい、古代の技術…。
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