美食家の誕生

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- 一世@seedo812025年3月23日読み終わった読了。フランス革命前後に起きた、グルマン(美食家)の誕生についての本・・・と思って読み始めましたが、そうではなく著者グリモ・ド・ラ・レニエールについての内容、それも文学的な視点からの話なので、だいぶイメージと違いました。 一般的に「美食」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、「どんなものを食べているか 言ってみたまえ。君がどんな人であるかを 言い当ててみせよう」 という名言で知られる 『美味礼讃』の著者ブリア・サヴァラン でしょう。 本書の中でも、グリモ・ド・ラ・レニエールとブリア・サヴァランを対比する形で話が進みますが、著者の関心は圧倒的にグリモ氏に傾いている ように感じました。 確かに、グリモ氏は料理本の著者というよりも、食を文学的に表現することの先駆者 であり、その功績は理解できます。しかし、その文体や表現には女性的なイメージが投影されており、個人的にはあまり好感が持てなかった ことが、この本に熱中できなかった理由かもしれません。 また、価格もそれなりの本なので、よほどフランス文学が好きな人、もしくはグリモ氏に特別な愛着がある人でない限り、購入はあまりお勧めできません。Amazonのレビューが 0件 なのも納得できるほど、かなりマニアックな内容です。 ● 美食家の誕生―グリモと〈食〉のフランス革命(橋本周子、2014年、名古屋大学出版会)