自由学校

3件の記録
- book & wine 方方@houbou_enzan2025年8月12日読み終わった読んだことない古い名作を読みたい気分で手に取った。はじめての獅子文六。 「自由が、欲しくなったもんだからね」。ある日、そう言って、ぐうたら亭主が家出をする。とても好きなタイプの話。 戦後の社会の変容、人々の価値観の移り変わりも底に流れるような作品で、戦後80年の8月に読む巡り合わせを思う。 拾い屋の金次爺さんがすばらしい人物だった。主人公の五百助が、それなりの生活をしていたが戦後没落して働くのが嫌になり、妻の駒子と喧嘩の末に家出をして、金次の住み着く防空壕で暮らし始める。最初の拾いモク1本が拾えず、非常に躊躇って拾ったシーンが秀逸であった。大団円の終わり方も好きだ。 落語を聞くかのように、イメージがどんどん目の前に立ち上がってくる。劇作家、演出家である作者の筆。