トラブル・てりぶる・ハッカーズ

トラブル・てりぶる・ハッカーズ
トラブル・てりぶる・ハッカーズ
後池田真也
KADOKAWA
1997年6月1日
1件の記録
  • 夕灯
    @yuuhi
    2026年6月15日
    読了 26.06.16 普段は冴えない学生だが、ネットの世界ではトップクラスの使い手で…という、現代の流行に近い『実は最強主人公のゲームダイブ系ラノベ』。 最強主人公のはしりは1989年のスレイヤーズ、ゲームダイブ系のはしりは1995年のクリス・クロス(1988年のノーライフキングも参照可能)だと当方は考えているのですが、トラブルてりぶるハッカーズは1997年に最強×ゲームダイブ系を実行している。 この本のダイブは厳密にはネットワークの仮想空間でありゲーム空間ではないのだが、読めばゲームダイブの素地に気づける範疇にある。 転生なろう系の前身となるこの作風を導き出した筆者の発想は絶対的な評価に値する。 小説としては主人公たちが全能すぎる点、敵サイドが無能に書かれすぎてご都合すぎる点、キャラクターの情緒をあまりに簡単に進行させる点があり、あまり優れているとは感じられない。 しかし、情報の整理ができているのか文章が小気味よく、サクサク読めて気持ちがいい。 キャラの感情はマンガのように大袈裟なセリフで済まされていってしまうものの、人に心を開けなかった主人公が少しずつやわらいでいく展開はとても好き。 作者はこう考えていないんじゃないかと思うけれど、主人公の少年は人を受け入れるようになったのではなく、仲間たちのいる空間を好ましく感じられたことを考え込んでいる段階にあるのだと思える。ここからまた悩みながら向き合うことが増えていくのだと思うと、愛おしい。彼の考えてるのと違うことが次々起こったりするぞってわくわくする。 この作品はおもしろいです。 ただ、詰め込んだ理想の全部が実に中途半端に過ごされちゃってとてももったいない仕上がりになってると思う。デビュー作だそうなので仕方ないけど、もったいない。 もっと事件を膨らませて解決すべきイベントを増やしたり、キャラの感情の動きとその展開にも行数を割いたリメイク作を読めたらと夢見てしまう。
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