夕灯
@yuuhi
児童小説・児童文学、少女小説、幻想小説、ノベライズもの、百合、ラノベ(ちょっと昔の)。
好きな本をよく読み返す。
since 26.05.21
- 2026年6月27日
- 2026年6月26日
- 2026年6月16日
ムーミンパパの思い出 (新装版)トーベ・ヤンソン,小野寺百合子読み終わった読了 26.06.19 ムーミンシリーズは好きだけど、読みつけていないとどうしても読むのが遅くなる。 独特の空気には既視感があり、どこで見たものかとようやく思い出してみれば『不思議の国のアリス』のようだということではなかろうか。 アリスも好きだが、読みづらい。 本の最後に登場するムーミンママは、いつものムーミンママとは違って少女の様子で現れる。 それが本当に短い描写で可憐な女の子なんだとわからせてくるのがムーミンシリーズの凄みだと思う。 こうしてムーミンママの若かりし頃に少女時代があったことを読み、今のムーミンママが暖かく立派なママであるところにそれまでの暮らしの穏やかさが見えている。 今のムーミンたちの暮らしを尊ぶまでがこの本に描かれた物語だと、私は思う。 - 2026年6月15日
トラブル・てりぶる・ハッカーズ後池田真也読み終わった再読読了 26.06.16 普段は冴えない学生だが、ネットの世界ではトップクラスの使い手で…という、現代の流行に近い『実は最強主人公のゲームダイブ系ラノベ』。 最強主人公のはしりは1989年のスレイヤーズ、ゲームダイブ系のはしりは1995年のクリス・クロス(1988年のノーライフキングも参照可能)だと当方は考えているのですが、トラブルてりぶるハッカーズは1997年に最強×ゲームダイブ系を実行している。 この本のダイブは厳密にはネットワークの仮想空間でありゲーム空間ではないのだが、読めばゲームダイブの素地に気づける範疇にある。 転生なろう系の前身となるこの作風を導き出した筆者の発想は絶対的な評価に値する。 小説としては主人公たちが全能すぎる点、敵サイドが無能に書かれすぎてご都合すぎる点、キャラクターの情緒をあまりに簡単に進行させる点があり、あまり優れているとは感じられない。 しかし、情報の整理ができているのか文章が小気味よく、サクサク読めて気持ちがいい。 キャラの感情はマンガのように大袈裟なセリフで済まされていってしまうものの、人に心を開けなかった主人公が少しずつやわらいでいく展開はとても好き。 作者はこう考えていないんじゃないかと思うけれど、主人公の少年は人を受け入れるようになったのではなく、仲間たちのいる空間を好ましく感じられたことを考え込んでいる段階にあるのだと思える。ここからまた悩みながら向き合うことが増えていくのだと思うと、愛おしい。彼の考えてるのと違うことが次々起こったりするぞってわくわくする。 この作品はおもしろいです。 ただ、詰め込んだ理想の全部が実に中途半端に過ごされちゃってとてももったいない仕上がりになってると思う。デビュー作だそうなので仕方ないけど、もったいない。 もっと事件を膨らませて解決すべきイベントを増やしたり、キャラの感情の動きとその展開にも行数を割いたリメイク作を読めたらと夢見てしまう。 - 2026年6月13日
チョコレート戦争大石真読み終わった読了 26.06.13 名誉のために戦う子どもたちのシナリオの背景にさまざまなお菓子の名が飛び交う、なんとも言えないミスマッチさ加減。 あこがれの、美しい、甘くてふわふわ、そんなイメージを思い浮かべるたびに話の外でほっとする。 登場するお菓子の麗しさのあまり、この話では悪者となるお菓子屋さんに行ってみたい、ここのお菓子を食べてみたいと思わせられてしまう。お菓子屋さんと戦う羽目になってしまった子どもたちのお菓子への憧憬が自分にも重ねられるものだと気づくと、やがて彼らの生活に親近感を見出せる。 お菓子に会うためにまた読みたくなると思う。 - 2026年6月10日
読み終わった再読読了 26.06.11 開始直後のエピソードから、もう今にも消えてしまいそうな少女の雰囲気にあふれている。物語のいく先よりも何よりも、少女の眼差しに耽溺することを望みたくなるのはどういうことだろう。 ずっと変わらないようでいながらも、少しずつ心を震わせる砂緒さんは危うく、しかしその周囲には優しさが潜んでいる。 物語を騒がせるかと思われた人物たちが、やがては皆二人のために思いを寄せてくれるのが温かくて涙が出た。 私はまだ、こうした物語を全部綺麗事だと冷笑してしまう精神性から逃れられていない。そのくせ、こういうものに憧れて欲してやまなくて、なのに嫉妬の気持ちも湧いては来ない。ただ、「綺麗事だ、現実にはそぐわない」と感じて疑うこともできず、自分が「これはきれいだ」と思った感性を自分で否定しては苦しむ日々を続けている。昔はそうじゃなかったのに。 きれいなものをがむしゃらに信じてやまない純粋さを取り戻したい。この物語のように優しくありたいと願い、こうした物語を求めている。 - 2026年6月9日
読み終わった読了 26.06.10 ぼくらシリーズの本、あまり読んだことがないながらもわかりつつ読む。 もう当たり前のようにとんでもない悪ガキたち! 周囲を取り巻く出来事の古めかしさも味わい深く、悪ガキたちの行いが次々に成功を収めていく様子もなんとなくマッチして見える。 突拍子もないやり口で大人をやりこめて痛快に過ごす日常(非日常だ)にあこがれてきた身、大人になった今では「あり得ないだろう」と思いながらも、自身のあこがれの重なる話を懐かしく感じた。 悪ガキたちのユニークに微笑みたくなりながらも、令和のコンプライアンス事情に染められた自分が「よくない」と戒めてくるのが邪魔である。 未来の心配もなくとんでもないことばっかり、企んでは思い通りのフィクションな昭和キッズのノリを、今もうらやましく思う。 これは平成の本なんだけど、たぶん書かれてる子どもたちのイメージは昭和を見て培われたものなので、「昭和」でよいかと思います。 - 2026年6月6日
- 2026年6月4日
小説ふしぎの海のナディア 下小林弘利読み終わった読了 26.06.06 ちょうど5月の終わり、自分がこの本を選んだのは偶然だった。 買ってある本は他にもたくさん、読み返したい本だっていろいろあるのに、私はよりによって『ナディア』に手をつけた。 私はロマンチスト、かつ自分の信じることだけを現実とした上での強固かつ間違った現実主義者である。 だから、『ナディア』を最後まで読んだ時に、5月の終わりの日に自分が『ナディア』を選んだ理由を理解した。 単なる偶然に過ぎないが、今もそういうことを信じて生きていきたいのだ。 こんなことをこうしていかにもさわやかに語らせる力が、この物語の終焉にはある。 想いと愛一辺倒で暮らしていけたらと願う気持ちを肯定してくれるのが『ナディア』だった。 - 2026年6月1日
小説ふしぎの海のナディア 中小林弘利読み終わった読了 26.06.04 『ふしぎの海のナディア』は、アニメのうちは評価の険しくなりがちな作品であった。物語の背景に横たわるシナリオを見ていられれば興味深く楽しめる話なのに、我々は主役たるナディアをカメラの正面に置いた視点からでないとこのシナリオを見せてはもらえない。アニメという媒体では、長期にこの状況に置かれる羽目になる。 この作品を評価する人は、おそらくみんなナディアが好きで、同時にナディアをウザイと思っている。 戦いにひたすら反発・激昂する少女の役どころはこのシナリオに必要なところではあるのだが、その反発が根拠のない上にあまりに激しく、見ていて非常に面倒な気持ちにさせられるのである。 物語が終盤に向かう頃には、ナディアも運命に翻弄され、ファンたちもまた固唾をのんで物語を見守ることになるのだが……待つだけ、見ているだけしかできなかったナディアの物語は、『ナディア』を楽しむ我々の姿にも重なってくる。 物語の中で激昂することもできない我々は、やがて変わっていくナディアよりもずっと無力で、ただただナディアの無事を祈ることしかできない。 そうして好きになってしまう。 なんと言ってもナディアはかわいいので。 - 2026年5月31日
小説ふしぎの海のナディア 上小林弘利読み終わった読了 26.06.01 本屋で見かけた白青赤の原色背景3冊シリーズ。 パキッとした色合いに、パキッとしたアニメ絵のナディアが載った表紙デザインの横一列に並ぶさまは静かな書店であまりにもよく目立ち、非常にかっこよかった。 お小遣いの少ない私に上中下巻のライトノベルは高嶺の……いや、まぎれもない高値の花であり、本屋でこの3冊が展開されているのを見るたびに「いつかは買いたい」と胸を熱くさせていた。 私がナディアのノベライズを難なく買えるようになった頃にはもうナディアは本屋に並んでいなくて、私も様変わりし始めた生活に流されていた。 あこがれの本たちは記憶の彼方。 今になってこの本のかっこよさを思い出し、購入する。アニメのナディアはそこまで気にせず一周したが、テキストでセリフを見るとめちゃくちゃにエヴァの香りがする。 大人になったオタクは知識ありきの全能感と共にナディアを読み耽るのだった。 - 2026年5月27日
天上の舞姫 女神幻想ダイナスティア桃木毎実,灰原希読み終わった再読読了 2026.05.28 ゲーマーの間で多少の語り草となっている、『女神幻想ダイナスティア』のノベライズ。の、二作目。 『ダイナスティア』自体に相当特殊な設定が入っているため、一見さんの中には「そんなばかな」と鼻で笑うものもあるかもしれない。 だが、この突飛な設定のおかげで『ダイナスティア』ノベライズの物語がいちだんとおもしろく、いちだんと引き込まれる世界になっていることは確かなのだ。 花魁たちの花街に担ぎ込まれた行き倒れの金髪少年、大夫らは金髪の彼を匿い、ひそやかに愛でる…… と、いかにも女性好みの物語が繰り広げられていたところが、本の中盤で話はいろんな意味で完全に変わってくる。 徐々に始まっていたミステリーとファンタジーの風に乗り、勢いづいた物語にページをめくる手が止まらなくなる。 「イロモノ」と呼ばれても否定しきれないこの本だが、描かれる世界は常に可憐さを忘れていない。 少女のあるべき世界が形作られた貴重なシリーズのひとつだと、私は思っている。 しかし、日本で親しまれる普遍的な固有名詞が続く中に突然「ロサ」とぶっこまれると、それが薔薇であることは『ダイナスティア』をやっていた人にしかピンとこないかも…とか、序盤からそわそわさせられたネーミングが終盤でついに現実にマッチングした笑いの実を結んでしまうなど、意図されていなかった不幸も多い一冊。 この素晴らしいライトノベルが、善良な乙女の読者さまの手にばっかり届きますように… - 2026年5月24日
夢から、さめない白倉由美読み終わった再読読了 26.05.26 三人の少女と三つの想いのクロスストーリー。 非現実的、夢見がち、そんな配慮のない言葉で片づけられてしまいかねない少女時代らしい幻想的なあこがれが、この本には詰まっている。 私はこの本にあこがれを求めていることを誰にも知られないように毎年ただ本を開き、そっと読了登録だけをしてきた。 この本のなりたちは少々特殊で、収録された物語には本以外の形の、「こうでなくてはならない」と思われた別の表現が存在していた。 だからせめてこの本自体も、筆者が最初に思い描いたヴィジュアルを持つ、このイラスト表紙のバージョンでなくてはならない。 私は、繊細かつある種気難しくもあるこの筆者の思い描く世界が好きだ。 筆者が望むかはさておき、私はまたしても本に飛び込み、彼らと共に『動物園襲撃』を果たす。 - 2026年5月22日
カフカ断片集フランツ・カフカ,頭木弘樹読み終わった読了 26.05.24 私自身の深く病んだ時期、無情・他人の無関心・社会のそっけなさ、思い通りに生きたい人間が世の不条理に転がされる生き様など、皮肉めいた感情を創作に落とし込もうとこつこつ書いていた。 自分なりに、「静かで盛り上がりもなく世の皮肉ばかりをしこたまに強調できた、ウィットに飛んだ話を書けている」と満足がいくこともあった。 たまにショートショートの賞などに送ったが、箸にも棒にもかからないような代物だった。 この本には私のそれらの作品に非常によく似たオチの話がたくさん収録されており、読んでいて大層イタつらい。 とは言えカフカは心の流れよりも展開のぶちかましだと思うので、私の吐露は「類似の主張」ではなく「個人の被ダメ」に過ぎません。 ps.今は元気です。
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